京都府商工連だより
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エコ・クリエ株式会社

オーガニックの茶花から生まれた化粧品を全国、世界に届けたい。

エコ・クリエ株式会社 代表取締役
西 にし むら しょう
 京都府で唯一の村、宇治茶の産地の南山城村で、無農薬の茶花を使ったスキンケア化粧品を開発・販売するエコ・クリエ。放棄された茶畑の茶花・実を有効活用することで、茶畑が広がる美しい景観の再生にも貢献している。代表取締役の西村庄司さんに、起業や商品開発の経緯、地域に対する思いを伺った。

「few」のスキンケアシリーズ

エコ・クリエ株式会社
〒619-1421 京都府相楽郡南山城村田山柳ヶ谷2番―2
エコクリエHP
https://eco-crea.jp/

few公式HP
https://few.kyoto/

耕作放棄地に咲く茶花を使いスキンケア化粧品を開発

 宇治茶の生産地として知られる南山城村で、無農薬で育った茶の花や実、葉を用い、スキンケア化粧品を開発・販売している。
 過疎化や生産者の高齢化によって耕作が放棄された茶畑に着目したのが、代表取締役の西村庄司さん。「放置されているからこそ無農薬で、飲料用のお茶栽培では使われない花や実を収穫できます。これらを使って何かできないかと考えました」と振り返る。茶花や実を調べてみると、
 美容に有効な成分が含まれていることが分かった。「これらを利活用することで、放棄された茶畑を再生し、地域の美しい景観を維持することにも役立てるのではないか」との思いで、「京Chanomie プロジェクト」を立ち上げた。プロジェクトの下に、多方面から専門家を結集。希少なオーガニック素材を使ったスキンケア化粧品の開発が始まった。
 化粧品メーカーと連携し、独自技術で茶花や葉、実から常温で蒸発水を分離。香りや有効成分をそのまま閉じ込めた原料の抽出に成功した。続いてコスメ開発の経験豊富な専門家の監修を仰ぎ、スキンケア化粧水や保湿クリームを完成させた。
 「英語で『少ない』を意味するととともに、『皀(ひゅう)』という『香り』を意味する語とも音が重なる『few(フュー)』をブランド名に決めました」

茶花体験イベントで商品の魅力を伝える

 2025年春からECサイトで販売する一方、認知度を上げるため、百貨店の催事や各地のマルシェなどでも販売してきた。また9月から12月の花の開花時期に実施している花摘み体験イベントも、商品の魅力を伝える良い機会になっている。
 「お客さまを南山城村に招き、茶畑が広がる景観を楽しみながら、茶の花を摘んでいただきます。オーガニックの茶花の香りを実体験したお客さまからの口コミが、購入や引き合いにつながっています」
 現在は、自社で小売りする他、美容サロンなどへの販売、茶花から抽出した原液のOEM生産にも販売チャネルを広げている。

商工会のサポートで得た補助金が商品開発の力に

 化粧品の開発や会社の立ち上げなど、エコ・クリエが創業時のさまざまな苦労を乗り越えられたのは、南山城村商工会のサポートがあったから。
 「補助金を申請する際、申請書の書き方などをていねいにアドバイスしていただいたことが、力になりました。希望の補助金を獲得できたおかげで、多額のコストがかかる化粧品開発や販売促進を進めることができました。また商工会を通じて、地域の店舗や事業者の方とつながりが広がったことも、良かったと思っています」
 さらなる成長に向け、現在は新商品の開発や海外への展開を進めている。「自然と共生し、人を健康に笑顔にしたい。その理念に沿った持続可能なビジネスモデルで、まずはこの地域にしっかりと根を張り、ここから日本、そして世界に発信していきたい」と展望している。

南山城村の人とのつながりが起業の支えになった

 エコ・クリエの代表取締役・西村さんは、長年、環境系企業で環境監理や調査、アセスメントに携わってきた。
 「前職に勤めていた時、約5年間、無農薬の稲作の実証実験を行ったのが、南山城村とのご縁の始まりでした」
 稲作のために南山城村に通う中で、放棄された茶畑を目にし、茶農家の担い手の減少など地域の課題を知ることになった。
 「京Chanomie プロジェクト」を立ち上げ、スキンケア化粧品の開発に乗り出した時、それまで5年にわたって地域のさまざまな方と出会い、つながりを深めてきたことが、支えになったという。
 「茶花を栽培するための放棄茶畑を貸してくださったり、現在事業所としてお借りしている古民家を紹介していただいたり、地域の方々のご協力のおかげで、プロジェクトをスタートさせることができました」
 こうして南山城村の茶畑から採れる無農薬の茶の花と実・葉を使い、完成させたのが、スキンケア化粧品「few」だ。
 「植物由来の成分特有の、肌への高い浸透力が特徴です。手に取っていただくと、自然なお茶の香りを感じていただけると思います」と強みを話す。

海外展開やOEM生産に対応するため、生産体制の拡充が課題

 2025年春、ECサイトで販売を開始。その一方で、百貨店の催事や地元の道の駅、マルシェなどでも販売している。さらに現在は、海外への展開も見据えている。
 「昨年、タイでマーケティングを兼ねて試験的に販売し、さまざまなご意見をいただきました。それらを反映し、今年はシンガポールや香港、台湾など、アジアを中心に海外の卸先への輸出を考えています」
 また他企業から、スキンケア化粧品の原料となるチャ花水、チャ葉水、乾燥チャ花、乾燥チャ葉などの素材提供の引き合いが増えている。
 目下の課題は、生産規模の拡大だ。「市販コスメ向けに、大ロットでの提供を依頼されても、応えられないのが苦しいところです」と、打ち明ける。
 現在、9月から12月の茶花の収穫期、西村さんをはじめとしたエコ・クリエのスタッフや期間限定のアルバイト、また「花摘み体験イベント」も活用して収穫しているが、追い付いていないのが現状だ。
 「今後は、茶花・葉の収量を増大していくとともに、自社で小売するだけでなく、企業のお客さまに大ロットで提供できる体制を作っていく必要があると考えています」

自然と人、地域と共生し、人を健康に笑顔にしたい

 自社の成長だけでなく、「地域の活性化に貢献したい」という思いも強い。
 「南山城村には、豊かな自然や茶畑が広がるすばらしい景観、地域の産物が揃う道の駅、温泉やオートキャンプ場など、多くの人を惹き付ける観光資源があり、それぞれ担い手となる人もいらっしゃいます」と西村さん。それぞれの分野で活躍する人たちがいるのに、各取り組みが連携していないところに課題を感じている。
 「地域の面白い取り組みを連携させ、点と点をつなぐことで、さらに魅力的な観光ビジネスを創造していけるのではないかと考えています。茶花摘み体験などのイベントや、『few』の発信を通じて、当社もそうした地域の魅力づくりや発信の先頭に立って村全体の一助になれたらと思っています」と熱く語る。
 西村さんが何より大切にするのは、自然と共生しながら、人の健康に資する会社であること。
 「ここ南山城村を拠点に、自然や人、地域と共生できる持続可能なビジネスで、人を健康に、笑顔にしていきたい」と未来を見据えた。エコ・クリエの挑戦は、まだ始まったばかりだ。