京都府商工連だより
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株式会社オプトイノベーション

お客様とは「一心同体」。ユーザー・オリエンテッドで最先端の機器を開発・設計に挑む。

株式会社オプトイノベーション むら まさ ひろ
株式会社オプトイノベーション 代表取締役 木村 雅博 氏

社員内観

社内業務

 京都府京田辺市に拠点を置き、4年前にスタートを切った株式会社オプトイノベーション。高い技術力で、世界的に名を馳せる京都の機械・電気系ものづくり産業を力強く支えている。若くして同社を立ち上げた代表取締役の木村雅博さんに、注力している事業や展望を伺った。
株式会社オプトイノベーション
〒610-0343 京都府京田辺市大住池ノ端66-5
TEL:0774-64-7500
FAX:0774-64-7501
https://opt-innv.com/

日本と中国の二拠点で最先端の装置を開発

 半導体関連機器や理化学分析機器、各種製造・実験機器などの設計・製作を手がける株式会社オプトイノベーション。2017(平成29)年に京田辺市で設立以来、わずか4年ながら着実に成長を遂げている。
 代表取締役の木村雅博さんは、2012(平成24)年に中国で起業し、実績を蓄積。現地で獲得したお客様からの要請に応える形で日本に同社を立ち上げた。現在は、日本を本拠にしながら上海市にも支店を構え、日中両国で事業を展開している。

光学設計技術を強みに高度なニーズに応える

 同社は、機械や電気制御、画像処理などの設計技術を有し、お客様のニーズに応える機器を一から開発・設計する。中でも強みとしているのが、高度な光学設計技術だ。紫外線、近赤外線など幅広い波長への対応はもちろん、分光器から測定器全体までトータルに設計出来る技術を有し、さまざまな分析機器の開発や、サブミクロンオーダーの精度を要求される装置の設計・製作も行っている。
 とりわけ同社が厚い信頼を得ている理由は、お客様のニーズや意図を細部まで理解し、設計に反映するところにある。
 「共に開発するお客様とは、一心同体です。開発担当者自らお客様に対応し、お困りごとを丁寧に聴き取ることを重視しています。求められる精度や強度、さらには形状やサイズも、お客様によってすべて異なります。それをいかに正確に実現するか、設計開発メンバーが知恵を絞ります」と木村さんは明かす。そうした努力が、最先端の有機EL製造装置や半導体製造装置、分光計測機器など、0.1㎛レベルの精度が必要な装置の開発を可能にしている。
 もう一つの同社の強みは、製作・組立機能を自社に擁していることだ。「装置の組立段階で顧客からの追加要求や設計改良が必要になった場合も、製造現場から開発担当者に迅速にかつ的確にフィードバックできるので、高品質かつ短納期を実現できます」と言う。
 最近これまで以上にニーズが高まっているのが、半導体製造装置関連機器の開発だ。世界的な半導体不足が深刻化する中、近年は中国や台湾に後れを取ってきた日本の半導体製造産業も再び盛り返しを見せている。半導体製造関連装置の設計・製作においても多くの実績を持つオプトイノベーションでも、依頼数が増えているという。
 一方で同社は、大学や研究機関からの依頼も受け、プロトタイプの試作にも応えている。最近では、PCR検査装置の設計や、基礎研究段階での医療分野からの機器開発にも挑戦している。

商工会の支援を力に新天地での成長を誓う

 新天地として選んだ京田辺市で、新たなスタートを切ったオプトイノベーション。その傍らに寄り添い、サポートしてきたのが、京田辺市商工会だ。「補助金の申請や展示会への出展など、多岐にわたって支援してもらっています。小さい企業で経営資源が限られる中、さまざまなアドバイスをいただけるのがありがたいですね」と木村さん。商工連の支援を得て、上海で開かれた国際工業博覧会など海外の展示会にも出展を果たしている。
 同社の歩みはまだ始まったばかりだ。「自社の開発力、技術力に誇りを持ち、これからも最先端の技術の世界に挑戦していきたい」と、木村さんは前を見据える。

大学、研究機関と共同で最先端の研究を支える装置を開発

 設計開発から製造、組立まで、完全オーダーメイドで世界に一つしかない機器を作り上げる株式会社オプトイノベーション。同社には、半導体関連機器や自動化設備だけでなく、大学や研究機関で用いられる分析装置や計測器の開発依頼も増えている。
 その一例として、リアルタイムPCR検査装置や、レーザーを使用した手術中の診断装置など、光を応用した技術をもとに、これまで世にない装置をゼロから生み出すのは、想像以上に大変だと明かす。
 開発案件は大学研究室からだけでなく、大手半導体メーカーからも、サブミクロンオーダーの精度を要求される装置の開発も依頼されている。搭載される機器からの温度上昇率や温度変化による材質対応から固有値解析まで、試行錯誤を重ね、顧客と共に高精細な装置の開発を行っています。
 そのなかでも「医療機器の開発では、もし測定に誤りがあれば、人の命に関わります。医療関係の研究に携わる装置を製作する責任の大きさを改めて実感しました」と木村さん。大学や研究機関の仕事や医療機器開発は、売上に寄与する割合は高くはないが、それでも今後も臨床研究から医療に関連する装置の開発を手がけていきたいと意欲的だ。「機器の開発を通して研究を後押しすることが、未来の社会に貢献すると考えています。また当社にとっても、これまでにない開発に挑戦することが、新たな技術や知見の蓄積につながっています」とその意義を語る。

温かい社風と丁寧な指導で若手社員の成長を後押し

 京都の地で創業して4年、飛躍的な成長に向けて歩み出したばかりの同社。創業期を確かな技術力で支えた経験豊富な社員に加え、新たに加わった若手社員も増えてきた。
 「毎週行われる工程会議やお客様を交えた開発会議にも若い社員さんも参加してもらい、知識や技術を身につけてもらうようにしています」と言うように、若手社員の成長も積極的に後押しする。
 またふだんからキャリアや年齢を問わず、親睦を深めることにも心を砕く。わからないことを尋ねやすいアットホームな雰囲気を醸成していることが、社員が伸び伸びと力を発揮する土壌になっている。

「挑戦する心」で顧客、そして社会に貢献する機器の開発を誓う

 木村雅博代表取締役は、2012(平成24)年、経済成長著しい中国に活路を求め、単身未知の国に飛び込んだ。何のつてもない中で、まさに地を這うような営業を重ね、自力で販路を切り開いてきたという。そのチャレンジ精神と内に秘めた情熱が、現在も木村さんの原動力だ。
 「中国で起業することで巡り合ったお客様がすべての出発点。今も感謝の気持ちを忘れてはいません」と木村さん。何より顧客を大切に、ユーザーオリエンテッドで開発する姿勢を貫く。
 「無理に規模を拡大しようとしなくても、お客様に必要とされれば、自然と大きくなっていく」と木村さん。「『ユーザー様と一心同体』で、大企業にはできないところに切り込んでいきたい。社員一同『挑戦する心』を持って、社会のお役に立てるよう、これからも努力を重ねていきます」と力強く語った。