独自のコンクリート補修工法で、日本のインフラを守りたい。
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京丹後から京都全域へ
土木建設業で成長
株式会社真鍋組は、1989(平成元)年の創業以来、京丹後市を拠点に京都府全域で橋梁や道路などの土木建設工事を手がけてきた。着実に実績を重ねて京丹後市、さらに京都府の指名業者となり、今日まで数多くの公共工事を請け負っている。特にコンクリート建造物の建設・補修における技術力の高さには定評があり、2010(平成22)年には京都府京都地域づくり優良工事施工者表彰で奨励賞を受賞するなど、高い評価を受けている。
近年、新設工事以上に需要が高まっているのが、補修工事だ。全国のインフラの多くは築年数が50年を超え、鉄筋が腐食したり、コンクリートが剥がれ落ちるなど、老朽化が進んでいる。中でも中小規模な建造物の場合、大型のポンプ車を使った大規模な補修工事は難しい。「そのためこれまでは職人の手作業による『左官工法』しか手だてはありませんでした。しかしこれは時間も工費もかかる上、職人の技量によって工事の品質にバラツキが出ることも問題となっていました」と語るのは、代表取締役の真鍋茂男さんだ。同社では、約3年をかけてこれらの課題を一気に解決する画期的なコンクリート補修の独自工法と装置「GARYA‒A(ガリャーエース)」を開発した。
高い作業性と安定品質を実現する新工法を開発
「GARYA‒A」は、補修材のグラウトを充てんする高さ110㎝ほどの注入機(インジェクター)にホースを取り付け、真空ポンプとコンプレッサーでグラウトを押し出すシンプルな仕組み。「グラウトを押上げながら注入することで、気泡ができるのを防ぎ、格段に耐久性を高めることに成功しました。低圧だからポンプの圧力で型枠を破損する心配もありません。粒径5㎜程度の骨材を含んだ材料も使用でき、多様な工事に対応できるのも強みです」。そう説明するのは、開発に当たった専務取締役の真鍋俊典さん。極めて小型で軽量のため、ポンプ車が入れない狭い場所や電源の確保が難しい場所、高い足場の上でも使うことができるなど、「左官工法」に比べて安定した品質で圧倒的に高い作業性と低コスト化を実現した。すでに特許を取得するとともに、新技術を広く活用するための国土交通省のデータベース『NETIS』にも登録している。
商工会の伴走支援で新技術開発に成功
新技術の開発など真鍋組の挑戦を後押しするのが、京丹後市商工会だ。常にそばに寄り添い、補助金の案内など、適宜必要な支援やアドバイスを行ってきた。「特許の出願や『NETIS』の登録申請にあたって、弁理士などの専門家派遣を勧めてもらえたのは助かりました。自分たちだけでは対処の難しい課題にぶつかった時、支援してもらえるのがありがたいですね」と茂男さんも感謝の念を表す。
「地域のインフラは地域の土木工事業者が補修するのが昨今の流れ。自社で工事を請け負うだけでなく、全国各地の事業者に対する技術指導や『GARYA‒A』の貸し出しを通じて、生活に欠かせないインフラの維持に貢献していきたいと考えています」と茂男さん。すでに京都府を超え、岡山県や滋賀県などで技術指導・装置貸与の実績を増やしつつある。今後ますます増加することが予想されるコンクリート建造物の補修事業において、真鍋組の活躍が期待される。