迅速かつ美しいエクステリア工事で顧客の信頼に応える。
〒620-0301 京都府福知山市大江町河守937-1
TEL:0773-56-0869
サッシ製造で培った技術力でエクステリア工事を請け負う
北近畿一円を営業エリアとし、中低層のビルや戸建て住宅のエクステリア(外構)工事を手がける池上工業。代表を務める池上幸浩さんは、アルミサッシメーカーで10年以上にわたってサッシの製造に携わった後独立し、1994(平成6)年、同社を立ち上げた。
「サッシの卸売りからスタートしましたが、地域に施工業者が少なかったこともあって次第にサッシの設置も依頼されるようになりました。それに応えるためサッシメーカーで身につけたノウハウを生かして施工も開始。一つひとつ経験を積み、施工技術を磨きながら、庭や車庫、門などサッシ以外のエクステリアの工事も担うようになっていきました」と振り返る。
現在は、カーポートやベランダ、テラス、デッキ、フェンスや門扉などお客様の依頼に応え、エクステリア全般の工事を請け負っている。
仕入れから加工、施工まで一貫体制で難工事も受注
池上工業の強みは、仕入れから材料加工、施工まで一貫して手がけられるところにある。例えば傾斜や凹凸のある複雑な形状の場所でも、それに合わせて材料を替えたり、材料を適宜加工し、施工するという。施工場所の形状に適した材料を選ぶことができるのは、材料の仕入れから自社で行うからこそ。加えて柔軟かつ適切に材料を加工できる高い技術力がそれを可能にしている。
「通常はまず組み立ててみて、歪みや傾きが生じたら、そこで余分なところを削るなどの加工を施します。しかし当社では、関数計算を使って設置場所から必要な加工の寸法を正確に導き出し、先に材料を加工してから組み立てます。これによりスピーディに施工できるだけでなく、見た目にも精密で美しい仕上がりを実現できます」と池上さんは言う。こうした緻密な計算に基づく工事はサッシメーカーで製造に携わる中で身に着けたものだ。
これまで他社で「施工は不可能」と断られ、池上工業に持ち込まれた依頼を見事に成功させ、お客さまから喜ばれたことも少なくない。少人数で迅速かつ精密に仕上げることからメーカーの信頼も厚い。メーカーから多くの施工を受注している他、施工の技術指導を依頼されることもあるという。
商工会の指導で事業成長の道筋を描く
「今後、事業を安定させつつ成長軌道に乗せていく上で、一番の課題は人材の確保です」と明かした池上さん。創業間もない頃から20年以上共に歩んできた従業員に加え、今夏、新たに一人を採用。依頼の増加に応えるためにさらなる人材募集を考えている。
そうした経営上の課題解決から経理、事務まで多岐にわたってサポートしているのが福知山市商工会だ。「わからないことや困ったことがあったら、気兼ねせずに何でも相談できる。そうした存在が身近にあるのはありがたいですね」と池上さん。補助金の案内など商工会から声がかけられることも少なくない。「申請書類の書き方を指導してもらうのも助かっていますが、その過程でそれまで気づかなかった当社の強みや事業成長の道筋が明確になり、事業計画を立てることにつながるのが力になっています」と言う。
人材を増やし、安定した事業基盤を築いてから後進に事業を継承したいという池上さん。その目は力強く将来を見定めている。
豪雨による水害から何度も立ち上がってきた
ゆかりのない地で新しい会社を興してゼロから顧客を開拓し、現在では資材メーカーや地域の工務店など多くの顧客から信頼されるまでに成長した池上工業。しかし今日に至るまでには多くの苦労も経験してきた。
「大変だったのは、自然災害です」と池上さん。京都府北部地域では昔から豪雨による水害に悩まされてきた。池上さんが最初に水害に遭ったのはおよそ15年前。事務所の他、材料を置いていた倉庫が浸水し、大きな被害を受けた。その後、過去10年間に豪雨によって5度も浸水によって損害を被ったという。
「水害で請け負った工事が滞れば、お客さまからの信頼に影響します。事業の機能停止を避けるため、2014(平成26)年に倉庫と工場を市内のやや高地に移転しました」。
ところが2018(平成30)年に再び台風によって水害が発生。事務所の1階は完全に水没し、2階まで浸水した。屋根や壁が剥がれ落ち、復旧作業や改修工事のため再び休業を余儀なくされたという。
「水害のたびに復旧に費用がかかる上、受注していた工事の遅れや休業による損害も発生します。地域では同じく被害を受けた個人のお客様からの復旧需要も増加しますが、それに応えることもできません。立て直すのは容易ではありませんが、『へこたれたらだめだ。もう一度売上を上げて頑張ろう』と自分を鼓舞し、災害前以上に工事を受注し、必死で事業を続けてきました」
商工会で親交を深めた経営者や同業他社の助力が支えに
福知山市商工会は、そうした困難な時にも寄り添い、池上工業をサポートしてきた。
「福知山市で会社を立ち上げた時に、商工会に加盟しました。青年部に所属し、地域の祭りなどの活動にも参加したおかげで、馴染みのない土地で地域の商店や企業の経営者と親しくなることができました」と池上さんは言う。
「時には朝まで飲み明かしたことも」と語るほど、地域の経営者と親交を深めてきた。「さまざまなことを話せる仲間がいると心強いものです。業種は違っても経営者同士、横のつながりは力になりますね」と言う。
商工会の仲間だけでなく、池上工業にとっては同業他社とのつながりも欠かせないものだ。「ふだんは自社の従業員と2人で施工しますが、事業所のカーポートの設置など大きな工事の際には他社に応援を頼んだり、他社から頼まれて応援に駆け付けることもあります」と池上さん。自社だけでは数日かかる工事も、他社の力を借りて複数人で行い、1日で完了できれば、時間もコストも効率化できる。
確かな技術力も含めて事業を継承するのが目標
「近年、カーポートは、車庫としてだけでなく、洗濯物干しとして、子どもの遊び場やバーベキュースペースなどのレジャー用として多様に用途が広がり、需要が増しています」と池上さん。加えてエクステリアにも機能面だけでなく美しさやデザインが重視される傾向があり、施工にも多様な要望に柔軟に対応できる技術力が求められる。「そうしたお客さまのこだわりにも当社は応えることができます」と池上さんは自信を見せる。
池上工業のように資材メーカーから直接資材を仕入れ、加工・施工まで一貫して行うことのできるエクステリア業者は近隣に10%程度しかいないという。加えて池上工業は、ていねいな接客や施工後のアフターフォローなどでも競争力を高めている。
今後も顧客のニーズに応え、受注を増やしていくためには人材が欠かせない。新たな人材の採用に積極的に取り組む他、後継者の育成についても考えている。会社だけでなく、関数計算を活用し、効率的で美しい仕上がりを実現する加工法など、確かな技術も含めて継承することが目標だ。