京都府商工連だより
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株式会社ライズウィン

オーガニック&グルテンフリーフードを通して、地元に貢献できる企業に成長したい。

株式会社ライズウィン
代表取締役 遠藤 えんどう 菜美子 なみこ
代表取締役 遠藤 菜美子 氏

人気商品「豆乳ジェラート」
他、ポン菓子

商工会の支援で補助金を利用し購入したポン菓子製造機器

 会社設立から約1年でグルテンフリー菓子の製造販売事業を軌道に乗せ、今年6月には直販店「MINORI工房」をオープンした(株)ライズウィン。事業規模の拡大を図るとともに、愛する地元、南山城・井手町のイメージアップにも貢献したいと新名産品づくりに挑戦する代表取締役の遠藤菜美子さんに、起業の経緯や事業にかける思いを伺った。
株式会社ライズウィン
〒610-0301 京都府綴喜郡井手町多賀前川12
TEL:0774-82-2660
https://minorikoubou.com/

商工会のサポートを受け事業をスタート

 株式会社ライズウィンが製造販売しているのは、無農薬玄米を使った「ぽんクラッカー」、玄米グラノーラにドライフルーツやナッツを加えた「ポングラ」など、グルテンフリーかつ体に優しいオーガニック食品だ。自然素材の旨みを生かしたナチュラルな味わいに加え、お洒落で愛らしいデザインもあって、アレルギーを持つ人や健康志向の人だけでなく、贈り物として購入する人も増えている。
 代表取締役の遠藤菜美子さんが会社を設立したのは2021(令和3)年6月。お父様の急死がきっかけだった。「会社勤めの傍ら農作物を作り、家族や親戚、近所の人々にまで喜ばれていた父のものづくりへの想い、熱意を受け継ぎたいと起業を思い立ちました」と語る。
 しかしこの段階では、まだ具体的な事業内容はまったく白紙。経営の知識はおろか、企業の立ち上げ方すらわからない状態だった。そこで、相談に駆け込んだのが井手町商工会だった。
 商工会から山城地域ビジネスサポートセンター※の「京都やましろ創業塾」を紹介され、まずビジネスの基礎力を習得。さらにさまざまなセミナーを受講して経営ノウハウを学び、多様な地元企業者と交流する中で少しずつ事業内容が具体化していった。「小麦アレルギーを持つ妹や娘は、今よりもっとアレルギー対応食品の流通が少なかった当時、買い物や外食でとても苦労しました。アレルギーを持つ人もそうでない人も一緒に楽しめる食品をもっともっと増やし、同じ悩みを持つ子育て世代のお母さん方の役に立ちたい」と言う。

「MINORI工房」をオープンし、地元の人たちの応援を実感

 会社を設立してから事業内容を考えるという逆順序でのスタートだったが、同年秋からイベントやマルシェで商品を販売開始すると徐々に評判をよび、認知度が高まった。2022年3月には自宅敷地内の空き家を改装した工房で製造許可を取得、それまで外注等で行っていた商品の製造をすべて自社製造に切り替えた。販売より先に行ったことは、商工会や役場の協力を得て町内の保育園3園に長期保存可能な「ぽんクラッカー」を寄贈することだった。「災害があった時にこそ栄養のあるものを、皆で同じものを食べてもらいたい」と語る。同年6月には「MINORI工房」直売所をオープンし、店頭販売も始めた。「嬉しかったのは、地元の人々が足を運んで下さること。実は、実店舗を作ったのもSNSでの情報発信の場が必要だったからで、こんな特殊な商品を井手の方が喜んで買いに来てくださるとは思ってもいませんでした」と遠藤さん。地域の応援を受けて、ますます張り切っている。

非乳製品ジェラートも人気 地元ブランドへの成長を目指す

 看板商品のポン菓子をはじめ同社の商品は、どれも遠藤さんがアイデアを出し、料理上手な妹さんがそれを試作するという共同作業で作り上げた自信作だ。だが「より良いものを目指している限り、完成はない」と、常に改良を続けている。一方、新商品の開発にも余念がない。今年6月に販売を開始した豆乳ジェラートは、すでに人気商品となっている。このジェラートは2023(令和5)年度に井手町役場敷地に完成予定の「道の駅(的施設)」への出品を目的として創作したものだという。さらに、町のふるさと納税の返礼品の開発を依頼されるなど、同社には地元からも大きな期待が寄せられている。
 「ブランドとしてはまだ駆け出しですが、今後は町の知名度アップ、イメージアップ、さらには移住促進につながるような展開をしていければ」と遠藤さん。井手町に店を構えたことで、地元の活性化という指標がもう一つ加わった。

目指すのはあらゆる面で健康に配慮したオーガニック食品

 一口にグルテンフリーやアレルギー対応食品といっても品質はさまざま。近年は、大手食品メーカーも参入し、webサイトやデパートなどではかなりの種類のものが出回っているが、こうした商品の多くは、グルテン不使用、もしくはアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)の特定原材料7品目(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生)を排除した食品であっても、添加物などが多用されているものも多く、必ずしも体に良い食品であるとはいいがたい。
 これに対して、株式会社ライズウィンの商品は、無農薬・有機栽培の玄米等を栽培農家から直接取り寄せて用いているのに加え、遺伝子組み換え食品、動物性食品、精製された甘味料(白砂糖など)や穀物(白米など)もすべて不使用。さらに製造過程でもアレルゲンが混入しないよう厳密な管理の下で作られており、食物アレルギーの人だけでなく、ヴィーガンやオーガニック志向の人など幅広い層の人が安心して食べることができる。プレゼントとしても人気があり、品質だけでなく、その美味しさは折り紙付きだ。新発売の豆乳ジェラートも、乳製品不使用であることが信じられないほどコクや旨みがあると定評があり、発売と同時に好調な売れ行きを示している。
 今後は、アレルギーの人や健康に不安を持つ人にアンケートなどを行って、どんな菓子、どんな食品が望まれているのかを調べ、こうした人たちのニーズに応えるような商品を作っていくことを考えている。「以前アメリカに行った時、普通のスーパーに売っているアレルギー等に対応した食品の種類の多さに驚きました。今でも日本では、まだ選択肢が少ないですが、アレルギーに対応したオーガニックな食品をたくさん作って、アレルギーを持つ方にも、もっと食べる喜び、選ぶ楽しみを味わってもらいたい」と遠藤さんは語る。

催事・イベントへの出展を通して町おこしに貢献

 東京からUターンで地元に戻って来た遠藤さんは、ここで事業を始めたことで、ふるさと井手町の魅力に気づいたという。「人間関係の暖かさも素朴な風景もとても新鮮で、地元愛がどんどん深まってきています」
 さまざまな機会を捉えて出品・出店しているのも、町を盛り立てたいとの思いからだ。「商工会の声かけで、ジェイアール京都伊勢丹で行われた催事“京の味めぐり、技くらべ展”に出展しました。『井手町』という地名に興味を示すお客さんも多く、小さいながらも町の看板を背負っていることを実感しました」と語る。
 地域の企業が集まり、井手町や近隣の京田辺市で開催されるマルシェにも毎回参加し、町おこしや地域交流に一役買っている。また現在、近くに開校した支援学校の就職先候補として名乗りを上げ、卒業生の同社への就業が実現すれば、雇用の面でも大きな地元貢献になるに違いない。

町内産の素材を使いたい。そのために農家の意識改革を進めていく

 地域貢献を考える上で、もう一つの大きなテーマは、素材の地元調達だ。すでに蜂蜜やジェラートに使用する果物などは町内産のものを使い始めているが、残念ながら井手町には無農薬・有機栽培で稲作を行なっている農家がないため、すべての商品に使用している玄米は町外の山城地域のものを仕入れている。
 「今後は、農薬・除草剤・化学肥料に頼らない栽培方法の普及活動に努め、町内農家さんの意識改革も進めていきたい。そのためにも頑張って規模を拡大していかなくてはと考えています。当社と契約すれば無農薬栽培でも経営が成り立つとわかれば、農家さんの意識も変わるかもしれませんから」と、遠藤さん。起業のもう一つの目的でもある「食の改善提案につながる事業」の展開も見据えている。