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サクセスリポート  
  第11回
商工会での特産品開発のポイント

始まりは素人のおかきづくり。
けれど、心を込めて創作した商品が
賞を取った。
挑戦した時の「苦労」も
振り返れば「苦労」でなくなっている。
そんな夢中で走ってきた細井さんの
活力の元はなんだったのかを探る。

「本当に商工会さんのおかげでここまでこれたのだと思います。」
細井さんは、感謝の気持ちを込めてこう言う。
 
始まりは、近所の主婦3人が週1回集まる集会だった。それがグループ結成時には、女性12人もの集団に成長していた。当初、細々と手焼きおかきだけを販売していたというもえぎが、なぜ、ここまで本格的な販売が成り立つようになったのか。
 
きっかけは特産品フェアに出展してみないかという商工会の提案からだった。
「最初はとても無理だと一旦は断ったんですよ。」
という細井さんだが、出品する商品の試作品だけを作らせてもらう、ということで引き受けることになった。
しかし、いざ試作を始めると、カステラ、クッキーなど様々なものを試すもののどれもピンとこなかった。そんな模索が続いたとき、商工会で指導をしていただいていた4名のうち、女性エキスパートの方がサンプルとして「きんつば」を持ってきてくれた。メンバー全員で話し合った結果、このきんつばを使って瑞穂町の名物である、「ホウレンソウ」を取り入れてはどうだろうとなった。あんこの作り方さえ知らない素人集団がろくに何のレシピもない状態からのスタートだった。しかも、当初は設備が整ってなかったため、それぞれの自宅で作ったものを週2回地元公民館に持ち寄り試食するという不便な状態。とにかく頼りになるのは自分の舌だけだとメンバー全員が心を込めて仕上げた。
 
フェアに参加した当日、仕上がったきんつばは今までにない最高の出来だった。
「一目見て、これはいつもと違うと感じました。」
しかし、自信をもって参加したフェアだったが、会場を訪れた細井さんは一気に不安に駆られた。フェアに出品された商品はどれも完璧なパッケージ商品。それに比べ、もえぎが出品したものはまる裸も同然だった。わずかに商品の周りをススキや竹で飾ったものの他の商品に比べると差は歴然だった。しかし、結果は予想を反して「京風きんつば」が金賞を受賞。素朴さがかえって商品の良さを引き立たせることになったのだ。
その後、商工会から京都生協のカタログ通販に載せてはどうかとの勧めがあり、本格的な販売が開始された。
 
そんな順調に行ったもえぎだが、細井さん自身、自信を失いかけた時期もあったという。それまでは懸命にメンバーを引っ張ってきただけにここに来て疲れが出ていた。もう、辞めようかとまで思ったその時、メンバーの一人が、「ここまでやってきたんだからもったいないよ、続けよう。」
これを聞いた時、『よく言ってくれた!』それが細井さんの正直な気持ちだった。
「これまで、自分が引っ張ぱらなければ   という思いが強かったのですが、このときからメンバー全員に自分達のグループだという自我が生まれたのだと思います。」
振り返れば本当に仲間に恵まれ、支えられてきたと語る。
「『挑戦がなければ、成功はない』。その時はしんどいと感じても、振り返れば苦労が苦労でなくなっています。グループとして大事なのは『商品開発』と『仲間づくり』。どちらが欠けても成り立たないんです。」
資金繰りが苦しかった最初の5年間、メンバーは時給たった250円にもかかわらず朝から晩まで働いた。もえぎの成功は実はそんな一つの目標に向かって結束した仲間達が生みだしたものに他ならない。
 
もえぎで作られた商品は保存料を一切使用しないため、通常賞味期限は20日。冷凍の状態で出荷される。昨年は約7,000箱売り上げた。限定数を切っていないため、ファックスで注文を受けると、どんなに数が多くても夜までかかって出荷作業に追われる。現状、商品の販売は通販での売上が大半を占めているが、今後はさらに売上を伸ばすため、地元にも力をいれた販売方法を思案中だ。
「お客さんに商品の良さを分かってもらうには、ここに来て、作っている所を見てもらったら一番早いけども・・・」
と苦笑する細井さん。商品に自信があればこその言葉である。もえぎでは毎年新製品を創作しており、最近では、お茶とあんこをあわせた饅頭、栗饅頭なども出されている。今後も新しい商品にますます期待が高まる。

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