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サクセスリポート  
  第12回
商工会の行う経営支援について

京都府下ではめずらしいジャージー牛の酪農家である平林氏。
大手メーカーに依存せず、製造から販売まで一環して行い、独自のブランド商品で地元の信頼を得ている。地元との触れあいを大切に考えてる平林氏の酪農に対する熱い思いを語ってもらった。

京都府久美浜町。海に面した穏やかな町に有限会社丹後ジャージー牧場はある。
「やはり地域の人に貢献していくことが、一番大切だと考えています。いかに安全でおいしい商品を届けられるかを常に考えて製造してます。」
 
平成12年度から始まった有限会社丹後ジャージー牧場。しかし、平林社長の酪農家としてのスタートは親会社である平林乳業が経営していた牧場から始まる。 元々畜産関係の学校を卒業していた平林社長は知識と経験から牧場を任すには最適な人材だった。 昭和40年頃に丹後に移り、その後個人的に経営していた牧場を独立させ、本格的に牧場経営することになる。
 
昭和50年頃、大手メーカーによる低価格の牛乳で乱売合戦状態になったことがあった。
スーパーのあまりに低価格な牛乳は、個人業者に太刀打ちできるものではなく、中小企業はみなメーカーの傘下に入ることになった時期である。
それに対して経営的に危機感を感じた当時の平林乳業の社長が、岡山の蒜山牧場を訪れたとき、ジャージー牛を一目見て、あまりのかわいさにその場で『これだ!』と感じたという。なによりおとなしく、手間がかからないのが気に入り、それ場で話を決めて来てしまったという。
ジャージー牛というのはホルスタインに比べると小柄で、乳量が少ない。そのため、価格も一本180mlの牛乳が150円から200円と少し割高とも言えるが、その希少価値、手間暇の結果であればうなづける。
 
近頃の農業体験を推進する動きに合わせて、丹後ジャージー牧場では様々な体験学習などを行っている。
「少しでも生きた動物に触れあって本物を感じてもらえればと考えています。」
と話す平林社長は、地域の人に貢献していこう、恩返ししていこう、という思いで毎年、春・秋には小学校の体験学習を受け入れている。
 
今年3月にオープンした『ミルク工房そら』で、
「前々から牧場で直接出来立てのアイスクリームや、チーズ、牛乳を味わってもらいたい。と考えていた。」という平林社長。
平林社長のこの要望を久美浜町へ相談した結果、「アグリチャレンジャー支援事業」として府や町から補助を受けることが実現した。
施設内では、牧場で取れた新鮮な生乳でチーズやアイスクリームを製造、販売し、その場で味わうことも出来る。
工房で製造している「マリボー」というチーズは、デンマークチーズに似ているともいわれ、チーズ嫌いの人でも食べることができるよう、チーズ臭さが少ない。
アイスでは、めずらしい「甘酒味」や「ぴりからとうがらし味」などもあり、これらは地元の農家から分けてもらった材料から作られている。
 
現在13軒の酪農家と契約し、800頭のホルスタインで製造をしている。
「まずは、昭和40年から手つかずになっている牛舎や搾乳室を別にするなど手入れをしていきたいですね。あとは、ミルク工房で作っているチーズの改良も考えています。」
という平林社長。
後継者を育てていきたいとの考えもあり、今後ますます充実させていきたいと決意を新たにしている。

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