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サクセスリポート  
有限会社ハイテックエンタープライズ 黒田正太郎氏
 
第2回 商工会支援策、成功事例

『インクジェットプリンタ用の前処理剤』これを自らのテーマとし、困難な課題に次々に取り組み、成功させてきた黒田氏の常に挑戦し続ける姿勢はどこから生まれるのか。その商品開発から成功までを語ってもらった。
「人や環境に優しい」をモットーにスタート  
「最初はお金もない、仕事も取れない状態でしたが、夢を追い続ける気持ち、何より家族の精神的な支えが大きかったですね。」有限会社ハイテックエンタープライズ社長 黒田正太郎はそう言いながら話し出した。
京都府の北部に位置する日吉町は、近くに由良川が流れる自然環境に恵まれたところである。黒田氏は、自らの地元であるこの場所で「人や環境に優しい」をモットーとする事業をスタートさせた。
今年の2月、開催されたイベントで着物や浴衣にインクジェット用の前処理剤を塗布することにより、素材反応染料を印刷し染色するという技術を披露し、多くの企業を驚かせた。それは黒田氏の開発してきた技術の確かさを感じることができた瞬間であった。
自分に与えられたテーマとの出会い  
会社を起こしたのは友人の誘いがきっかけだった。当初は順調とはいえず、自分のするべきことはいったい何なのか模索をしていたそんな頃、北陸の客先で突然私の前職(薬品会社)の話が出たところ、インクジェットプリンタ用の前処理剤でいいものがないかという声が掛かった。当時、インクジェットプリンタのインクは耐水性に弱く、プリントされたインクは水に浸すとすぐに滲みだした。黒田氏は、「帰りの車の中で、これまでの経験から、これは自分に課せられたテーマだと思い、必ず開発をしてみせるという使命感がありました。」
短期間での開発  
開発は順調に進み、春から始めた研究が3ヶ月という超短期間のスピードで成果が得られた。この商品は、フィルム、和紙、ポリエステル、プラスティック、シルクなどあらゆる素材のものに前処理剤を塗布することでインクジェットプリンタのインクでの印刷を可能にする。この商品の開発の成功により黒田氏は、会社を起こした時から加入していた日吉町商工会に特許についての相談をし、特許出願を果たした。ところが、技術は良かったのだが、いざ営業にでてみると反応は良くなかった。「まず、手始めに世界シェアを確固たるものにしている大手プリンタメーカーのブラックインクを使用して文字打ちを試しました。」しかし開発結果を提示してから何ヶ月たっても返事がこない。その後大手メーカーに次から次へと断られ
常識を覆す結果に大絶賛  
開発に明け暮れていた彼に転機がおとづれた。KRP(京都リサーチパーク)で、ベンチャー企業数社に商品を発表する場が提供された。そこで黒田氏は以前から検証していた黒谷和紙にインクジェットプリンタ用の前処理剤をつけプリントする技術を発表して見せた。「和紙やシルクといったものは吸水性がものすごくいいんです。この2点を制覇できればどんなものにでも印刷する自信がありました。その結果、印刷会社、薬品会社等多くの方々から関心を集めることができました。」
今後は京都発ブランドづくりに貢献  
黒田氏は今後の展開について次のように語ってくれた。「今年の3月から6月にかけて開発したものはこれまでよりさらにレベルアップしたものです。流水で5分、10分洗っても大丈夫、家庭用洗濯機で洗ってもOK。今後は世界のどんなインクにも対応でき、しかもすべての素材に印刷できるようにしたい。京都から世界へ発信するブランドづくりに貢献していきたいと考えています。」と語ってくれた。

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