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サクセスリポート  

■ アキツ産業株式会社
〒618-0071 京都府乙訓郡大山崎町鏡田20-82
TEL(075)956-4480 FAX(075)956-4711

クリスタルボトルに浮かびあがる美しい文字。サントリーから限定発売された酒齢50年の希少なウィスキー「山崎50年」の品格あるクリスタルボトルを製作し、近年では「万年時計復元」という国家プロジェクトにも参加。常に前進し続けるアキツ産業株式会社代表武部氏にお話を伺った。
 
アキツ産業株式会社は、サントリーのウイスキー「山崎」の生産地として有名な大山崎に位置し、自然豊かな場所である。
同社は、ガラスに美しい文様を加工する機械装置の設計開発・販売を行っており、同時に機械装置を販売する企業に対し、技術指導も行っている。
「この装置は一般の工作機器とは違い手作業での高度な技術を要するため販売する際には必ず技術指導も行います。」また自社でもガラス工芸品の製作・販売を行い、一般の方に向けた創作教室も開いている。
 
創業前、武部氏は金属の錆びを落とす工程の一処理に留まっていたサンドブラスト技法の、有効な使い道を模索していた。そんな折、たまたま訪れた美術館で、世界的に有名なガラス工芸家エミール・ガレの作品に感銘を受ける。
「これだと思いました。これまで名前を彫る程度しかできなかったガラス加工が、サンドブラスト技法をガラスの表面加工に使うことにより、美しいデザインができる。」
武部氏は当時を思い出し、少し高揚した声で話した。
 
 ガラス加工にサンドブラスト技法を取り入れるべく研究を重ねていたところ、大手ガラス製品メーカー社長の目に留まり、設備の販売と共に技術指導を行うチャンスを掴んだ。その後、経営も順調であったが、武部氏は技術への追求をやめることはなかった。その理由を尋ねると、それまで笑顔を交えていた表情が一転し、
「技術は15年経てば新しい技術が開発され追い越されます。昨日の仕事をしていては駄目。追いつかれる前に次の技術開発が必要です。幸いなことに私には取引先からの依頼という課題があり、それを解決することが新たな技術開発につながりました。」
 
 取引先からのどんな難問にも応え、解決してきた武部氏の元には、噂を聞きつけて次々と人が訪れるようになっていた。そしてついには約150年前に精巧に作られた万年時計の復元という国家プロジェクトの依頼がきた。
「時計の装飾部分のガラス加工と金工の透かし部分を復元できる技術を持つ企業がないということでした。引き受けることはビジネスとしては間違っていたかもしれません。」
そしてそれは予想以上の厳しさの連続だったという。
「難しいクイズを解き続けているようでした。100問もある難問をなんとか99問まで解いたが最後の一問が解けなかった。そこでヒントになったのが今までの失敗でした。過去の失敗とプロジェクトから与えられた課題により、新たな技法も開発できました。」
 
 装置の設計開発と共にガラス工芸の技術指導を行ってきたアキツ産業株式会社では、これまでに多くの工芸作家を輩出してきた。今後は作品を多くの人に見てもらえる場を作り、ガラス工芸という世界を広げることが目標である。陶芸のように趣味としての世界や、作品の価値に興味を持ってもらえるように、更に高度な技術を開発し、今までにない作品を創作していきたいという。
「昨日の仕事をしていては駄目。」と言い切る武部氏。過去の功績にあまんじることなく常にチャレンジし、前へ進み続ける姿勢から、それこそが成功への道だと気付かせてくれた。

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