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サクセスリポート  

■大善株式会社
〒629−2534 京都府京丹後市大宮町下常吉181
TEL(0772)64−3309  FAX(0772)64−3271

 伝統産業・丹後ちりめんで培われた技術を元に生地の製造・開発・販売を主に手掛ける大善株式会社。
伝統産業の域を越え、若者に人気の吉田カバンの生地を手掛けるなど、活躍する同社の若き代表 田中洋年さんに、その発想の源をうかがった。
 
 
 大善株式会社は、創業130年の老舗である。代々、丹後ちりめんの着物地の製造を行ってきたが、先行きは明るいものとは言えなかった。そこで今後の事を考えた先代社長が、ポリエステルを使った丹後ちりめんや一般生地、そして洋服、テーブルクロスなどの完成品の製造、開発、販売を手掛けるようになった。
 
 田中代表は、東京の呉服屋で販売の現場を学んだ後、大宮町へと戻り、製造に携るようになる。 当時は、現在の工場で、ふとん生地の製造を行っていたが、間もなく製造費が安い中国へと製造拠点が移ってしまった。そこで、工場ではポリエステル100%の丹後ちりめんの製造を始めたのだが、「在庫はたまる一方でしたね」と当時を振り返る田中代表。「このままではいけない」と始めたのが日本中の織物の産地を巡ることだった。「この時にモノづくりについての基本を学びました。織りの種類や、生地の厚さ、糸の種類。産地に出向き学ばせてもらっては、オリジナルの生地を研究しました。」
 

 何種類もの生地をつくっては、売り込みに出かける日々が続いた。「仕事の依頼が減ると、工場が稼動しない時間が増えますよね。そこで休んでしまったら何の進展もない。」と、それまでは親しみやすい笑顔で話してくれていた田中代表だったが、この時は胸の前で手をしっかりと組み、表情には厳しさがあった。「需要は必ずあります。大事なのは、ありきたりじゃない生地が必要だということです。丹後ちりめんは、横糸を1mの間で2500回撚るんですが、この撚りを工夫したり、織り方を変えたり、試行錯誤を繰り返しました。どこにもない生地を持って行くと、『面白いね』と興味をもってくれます。そして『こんなの作れないかな』という要望へと繋がるんです。」

 
 そんな田中代表の元に、若者に絶大な人気を誇る「吉田カバン」からの依頼が舞い込む。「面白い生地を作る会社がある。」和の素材を探していた有名な担当者の耳にその話しが入ったのだ。それは、今までの売り込みの成果といえるだろう。実際に生地になるには一年の歳月がかかったが、苦心の末できた生地は、実に素晴らしいものだった。丹後ちりめんの模様と平織りがストライプになり、伝統は古いという概念を打ち破った。デパートの売り場でも売り切れとなるほど好評を呼んだのも納得である。そして、今尚、好調な売れ行きが続き、次なる新製品も試作中であるとか・・・。
 
 製造に関しては、現場への配慮も忘れない。循環式の加湿器の設置により、粉塵を防ぎ、従業員の健康を守る。「今の時代を知ることが大事です。良い話も悪い話も平等に外に伝わるものです。」  そして、現在新たに取組んでいることがあるという。車のフィルターなどの産業資材の製造だ。これは織るという技術を最大に高めた形だろう。すでに試作は済み、メーカーでのテスト中だそうだ。「持っている設備も技術も最大限に活かしたい。」と意欲的に語る田中代表。常に前進し続ける、その姿勢に感銘を受けた。

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