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サクセスリポート  

■有限会社 火の國屋
〒610-0252 京都府綴喜郡宇治田原町荒木大地8
TEL:0774‐88‐4510 FAX:0774‐88‐5586
E‐mail:hinokuni@gaia.eonet.ne.jp
 緑茶発祥の地といわれる、宇治田原町に店を構える果物専門店「火の國屋」。
行商から店を構え評判を呼ぶまでに成長した、その秘訣を代表増永行廣氏に伺った。
 
 茶畑の景色が美しい、新芽のシーズンを迎える宇治田原町。遠方からも果物を求めて来客があるという評判の『火の國屋』を訪ねた。
 
 代表の増永氏は、10年間繊維会社に勤務した後、27歳の時に夢であった独立を果たす。『資金もなく何ができるか』を考えた結果、生きる基本である衣食住の中から『食』を選び、元々実家が農家だったこともあり果物を商うことに決めた。
『トラック一台からの出発です。』と絶えず笑顔で話してくれる増永氏であったが、当初は苦労の連続だった。
「売れない日が続き、目の前が真っ暗でした。けれど定期便のように時間を決めて各地を回っているうちにお得意さんが付いてきました。」
そして行商を4年間努めた後、その儲けを元手に店舗を構えた。
 
 店舗を構えた当初、仕入れは産地直送にこだわり季節物を揃えていた。だが経営状態は次第に行き詰まり状態に陥る。悩んだ末、愛知県で果鮮店を幅広く商う会社の社長のところへ相談に出向いた。そこで教えられたことは、鮮度保持、幅広い品揃え、中央市場の利用、外国産の果物を扱うこと。
「昔とは生活様式が変わりニーズが変わっていることを知りました。昔は暑い夏の水分補給にスイカを食べていましたが、今はクーラーがあり暑くない。スイカをお客さんが夏食べたいとは限らないんです。お客さんが求める豊富な品揃えが必要なことに気づきました。」
 

 いくつかの課題に直面した増永氏は、まず冷気の噴出しを増やし死角をつくらない風の流れを考えた。
「お客さんが食べる時まで長持ちすることを心掛けました。」
そして、『誰が食べても美味しいと自信を持って売りたい。』と糖度計や酸度計を用いて膨大なデータの収集を始め、糖度と酸度のバランスが生む旨みを発見した。今では生産者から贈られてくる果物のサンプルからそのバランスを計測し、一番収穫に適した時期を指導している。それは産地まで出向き生産者と一緒に良い果物づくりを考え、生産者以上に美味しい果物づくりを研究してきた増永氏だからできることだ。結果、絶対的な美味しさが評判を呼び、売り上げは順調に伸びていった。

 
 味には絶対的な自信を持っていた増永氏であったが、『おいしければ格好なんていい』そんな思いがあった。そんな折、商工会から専門家を派遣するエキスパートバンクの勧めがあった。専門家からは陳列、掃除、接客など基本的なことから『美味しくても、これじゃ進物に利用できない』と包装についても指摘を受けた。
「言われてみればもっともだと思いました。陳列も床の上に板を置き、その上に果物を並べていたのですが、お客さんに物を売る状態になっていないと指摘されました。包装も受け取った人が『火の國屋』だとわかるオリジナルの包装紙が必要だと教えられました。厳しい先生方でしたが、指摘を受けたことをできることから一つずつ改善していくと、売り上げもアップしました。」
こうしてお客さんの目線にたった清潔感ある店舗づくりが完成し、『火の國屋』の名前が世間に知られるようになった。
 
 絶対的な美味しさとエキスパートバンクの利用により売り上げを順調に伸ばしてきた『火の國屋』は、平成10年から果物の加工に取り組んでいる。
「旬の味をいつでも楽しめるようにジュースにしました。加工には防腐剤など一切添加物を加えていません。食の安全が話題になっている今、赤ちゃんにも飲んでもらえるジュースです。」
常ににこやかな笑顔で話してくれた増永氏。美味しい果物を追求する厳しい姿勢が、生産者からもお客さんからも信頼を呼び成功へとつながった。この姿勢をぜひ見習いたい。

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