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サクセスリポート  

■奥村製鑵株式会社
〒610−0301 京都府綴喜郡井手町多賀西松ヶ花一番地
TEL(0774)82−2078 FAX(0774)82−4324
http://www.okumura-seikan.com

 京都と奈良の中間に位置し、山背古道や源氏ホタルの生息地として知られる井手町に、京都のお茶メーカーや有名洋菓子メーカーから信頼を集める奥村製鑵株式会社はある。若干15歳という若さで缶製造に携わり、数々の有名メーカーから信頼を集めるまでにいたった同社代表・奥村康彦氏にその成功の秘訣を伺った。
 
 
 奥村製鑵株式会社は昭和27年に創業し、以来、お茶の産地が近いことから、お茶の葉を詰める缶の製造を主に行ってきた。現在、代表を務める奥村康彦氏は、15歳の時から家業を手伝い、缶製造一筋に歩んできた。
そして15年程前から大手有名洋菓子の缶容器も手掛けるようになり、今では、多くのメーカーから缶容器の製造を任されている。
 
 「昔は全て手作業で缶を作っていました。」
そう奥村氏が話す缶製造の工程のほとんどが今では機械化され効率化が進んでいる。しかし、人件費が低くコストの安い海外の同業社がライバルとなる現状から、奥村氏は現地の工場へ視察に訪れた。
「向こうは人件費の安さから、今も全て人の手で作っていました。それゆえに髪の毛などのゴミ等の混入を防げず、また作業を監視し、完成品をチェックする人も必要で効率は良いとは言えませんでした。そこで作業を自動無人化にすれば、ゴミが混入する問題を防げ、効率もより上がると考えました。」 無人自動化を進めるにあたり、製作機器メーカーに要望をだし、機械の開発も積極的に行った。お茶の葉や洋菓子など食べる物を扱うメーカーにとって、外側の容器であっても衛生面は重要だ。いくらコストが安くても、安心して出荷できない製品は使いたくない。奥村氏はそれを理解し、コストで対抗するのでなく徹底した衛生管理で厚い信頼を集めることに成功した。
 

 メーカーから衛生面で信頼を得てきた同社は、更に次の依頼に繋げるべく努力していることがある。それは、新たな缶容器の開発だ。
「メーカーから依頼を受けて作ることは誰でもできます。先にこちらから仕掛けることが大切です。依頼があってからでは、開発、採用までに長い時間を要しますが、開発した製品を提案すれば、採用までかかる時間も短い。」
近年では、缶の横、底につなぎ目がなく、かつサイズもこれまでよりも深い缶の開発に成功した。
「ひと目見て『あっ!』と言わせる物をつくりたい。消費者もメーカーの方も皆さん、口も耳も目も肥えている。色々でつくしている世の中だから、サプライズが必要です。コストは話が進む中で調整すればいい。」
つなぎ目が無い缶容器は、デザイン面もスマートになり、また水をいれてもこぼれないという容器としての質も追求し好評を得ている。
「『あそこにまかせたら大丈夫だ。』そう『信頼』してもらうことが重要なんです。」

 
 常に『信頼』を得るために努力を重ねてきた奥村氏が今、取り組んでいるのが社員教育である。
「私は若い頃、『仕事は8割が段取り』という事と、『魚は頭が動かないと尾も動かない』という言葉を教えられました。人と同じように出勤して準備をするのと、始業時には準備を終えているのではスタートが違う。55年間、毎朝5時半には出社しています。そしたら、何も言わなくても、始業時間は8時半からなのに、社員は7時頃には出社してきます。物を作るっていうことは、人をつくること、育てることに繋がっていると思います。」
信頼≠アの言葉は、言うのは簡単だが、それを得るために同氏は努力を重ねてきた。そして最後にこう教えてくれた。
「ぬるま湯につかっていたら駄目です。下から熱い湯が沸いてきても気づけない。いつも時代の波を見て、下から上がってくる熱い波を気にすることが大切です。」

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