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サクセスリポート  

■株式会社 京都衛生開発公社
〒617-0003 京都府向日市森本町高田31
TEL.075-922-1340 FAX.075-931-4740
http://www.kyoto-es.co.jp/

 取引先範囲の拡大、新規事業立ち上げの裏側には、社員から仕事への積極性を引き出した“組織改革”があった! いかにして仕事への意欲を高めることができたのか?その秘訣を改革を遂行した副社長・高橋氏に伺った。
 
 
 京都市南西部に位置する向日市に、一般・産業廃棄物等の収集運搬業務から汚水処理設備等の管理業務等を主に展開する京都衛生開発公社はある。現在、副社長を務める高橋氏は大学卒業後、修行を兼ねて同業社で現場勤務を経験するが、この経験が現在の組織をつくる“改革”の大きなきっかけになった。「当時の清掃業務は、自分の持ち場が終われば帰ることが当たり前でした。しかし勤務させていただいた同業社は違った。就業時間が決められ、組織として連携があり業務能率がとても良かったんです。社員の仕事に対する意欲の高さにも驚きました。」自社との違いに衝撃を受けた同氏はすぐに改革の必要性を感じた。何をすべきかを考え続け「会社を変える為には『連帯感』と仕事に対する『責任感』を育成することだと気づいたんです。」まず社員の意識を変えることから改革は始まった。
 
 「最初に勤務時間を定める基本的なことから始めました。」ごく基本的なことのように感じるが、それが当たり前でなかった当時の社員からは大きな反発があったという。がらりと変わる社の規律や、まだ若かった同氏に従えないと反発し去っていく者も多かった。しかし顔をあげ社を見渡すと、自分を信じついていて来てくれた社員が残っていた。これまでとの違いに最初は戸惑う社員の姿があったが、次第に自ら他の社員の業務を手伝うようになり、また事務所の整理整頓もし始めるなど、何をしなければならないかを考えて動くようになった。そして、社員たちの間に会社という組織での連帯感が芽生え始めた。
 

 一歩改革が進んだと感じた同氏は次に、社内を営業、技術、管理などにグループ分けし、それぞれに役割と目標を持たせた。「意識の改善策のひとつが、役割を持たせることです。」と同氏は言う。一人ひとりの役割を明確にすることで、会社の一員としての意識を根付かせ、その役割を果たすことで生まれる気持ちの変化を知ってほしかったのだ。「最初は重いと思った責任も、達成したときこれまで感じたことのない嬉しさがこみあげる。その達成感を得るために人は努力を重ねます。売り上げにしろ、コミュニケーション力の向上にせよ、目標を持つことで頑張れる。そして私達にできることは、社員たちがどんな風に頑張っているかをきちんと見続けることです。」社員の仕事に対して芽生えた責任感は、自然と取引先への積極的なアドバイス等に繋がり、現場においてもゴミの分別への細かな指示や、浄化槽の維持管理においては、個別にカルテを作成するなど他社にないサービスを提供できるようになった。そして、それは取引先からの厚い信頼となる。組織の完成には20年を要したが、この改革が花開き、今では関西一円に取引先が拡大し業績も順調に伸びている。

 
 目指した組織の完成が見え始めた頃、同氏にはすでに、これまで培った知識や経験を活かせないかと新たなる改革として新事業部の起ち上げを考えていた。そんな時、社員の中から自社の消臭剤を改良して売り出してはという意見がでた。「日頃から業務において消臭剤を使うことが多いので、自社で消臭剤を製造していました。そして、業務柄、化学物質を扱うことも多いので、その安全性に疑問を感じていました。」また近年は、アレルギーやシックハウス症候群等を受けて、化学物質に敏感な時代でもあった。こうして、社員の一言がきっかけとなり、ライフサイエンス事業部が誕生し、肌や口に入っても安全な植物成分100%の消臭・除菌スプレーを開発、商品化に成功した。
 最後に同じ経営者の方へメッセージをいただいた。
「これからは既存事業のほかに、新しいことを始めるのも重要だと思います。全く新しいことをする必要なはく、ものの見方を少し変え、新たな切り口を探し出す。それにはやはり自分で考え、行動できる人材を育てることが大切です。」
 取材の合間、高橋氏の社員への接し方は、会社の代表というより厳しく暖かい親方という印象を受けた。改革の成功には社員がついていきたいと思う、高橋氏の人としての暖かさがあったからだと感じた。

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