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サクセスリポート  

■カゴヤ・ジャパン 株式会社
〒610-0334 京都府京田辺市田辺中央1-5-5 橋本ビル4階
TEL.0774-68-5858 FAX.0774-68-1525
http://www.kagoya.net/

 ガス設備会社から転身しインターネット関連事業へ。わずか10年足らずで自社データセンターを建設するまでに成長。『顧客満足度No.1主義』を追求し、さらなる事業拡大を目指す北川氏に新事業立ち上げから、多くのユーザーの信頼を掴み急成長を遂げるに至ったその道程を伺った。
 
 
 インターネット関連事業を展開し、現在1700台ものサーバーを稼動させているカゴヤ・ジャパンがその産声を上げたのは1998年のこと。前身であるガス設備会社のオフィスに設置したサーバーを使い、会社の一部門『KAGOYA Inter Routing』として地域向けのインターネットサービスプロバイダー(以降ISP)事業をスタートした。開業当初は北川氏一人だったため営業からサポート、プログラムまでをこなすという日々が続いた。そんな状況の中で営業は一体どうされていたのか伺うと、「当時一般的なISPサービスではホームページの容量は2〜3メガバイトが通常だったのですが、うちのサービスは100メガバイトでした」とのこと。同氏が自分で欲しいと思う容量を基準にしたのだが、これが評判となって全国のプロバイダ比較の容量部門で1位になり、ユーザーは全国に広がっていった。
 
 大学で心理学を学ばれた同氏がISP事業を始めたのは自然な流れだという。「ISPというよりもともとコンピュータに興味があったんです。私がコンピュータを始めた頃は自分でプログラムを組んでそれを使うのが当たり前でした。つまり人の考え方をプログラムにするということで考えれば人工知能まではいきませんが、心理学は意外とコンピュータに近いんです」。そのコンピュータ関連でもISPを選んだのは、前身であったガス事業の影響があったと言う。「ISP事業とガス事業はそのビジネスモデルが良く似ているんです。ガス事業では施設やガス管などのインフラを整備して、その初期投資コストを時間をかけて回収していく」。顧客との直接的な信頼関係を長期に渡って築くことにより収益を図るという意味でも良く似ている。同氏の父親はガス事業について「少しくらいの価格差があっても、信頼関係があれば今日、明日に取って代わられることはないけれど、お客様の満足を得られなければいずれは顧客を失うことになる」と語ったという。この想いを引き継いだことが、事業開始以来現在に至るまで一貫したユーザー志向の姿勢として表れている。
 

 オフィスの一角からスタートしたISP事業は、最初から順調だったわけではなかった。たった一人で月20人程のペースでユーザーを増やし、4年かかってやっと1000人に達した。ここまで来てようやくアルバイトを雇えるようになったのだが儲かるまでには至っていなかった。いっそ止めてしまおうかと思ったこともあったが「やっぱり自分にはこれしか出来ないと思い直した」。そして自身が提供できることは何かを考え抜き、突き詰めたところに道が開けた。プログラムを趣味に、また仕事としていた同氏は、自分のような技術者が欲しいサービスを追求することで競合にはない独自性を生み出した。独自のアプリケーション提供や特殊なツールへの対応などを他社に先駆けて取り入れたのだ。
 そして代表取締役に就任した翌年の2002年、社名をカゴヤ・ガス設備からカゴヤ・ジャパンに改称、ガス事業を止めインターネット関連事業のみの事業展開をスタートさせた。独自サービスが技術者を中心に受け入れられたこともありレンタルサーバー、ホスティング、Webアプリケーションの受託開発など、ユーザーのニーズに応えながら、豊富なサービスメニューとコストパフォーマンスの高さを武器に次々に事業を拡大していった。

 
 事業の拡大に伴い、オフィスに置いたサーバーやレンタルサーバーによるサービス提供から、外部データセンターと契約してのサービス提供へシフトする中で、よりきめ細かく顧客ニーズに対応していくために自社データセンターの建設という考えが浮上した。「外部のデータセンターでは電力供給量の問題などでサーバーの増設に対応し切れなかったり、セキュリティーを高めたいという要望の一方、メンテナンスのために頻繁に出入りを希望する顧客からは入退室手続きの簡素化を求められたりする」など、要望に応えられないことが多くなってきたからだ。競合他社との差別化とさらなる顧客満足実現のため、あらゆるシチュエーションを想定して、立地や免震構造を備えた建築物、設備など実現可能な限り最高のものを追求。また2006年にはプライバシーマーク、翌年にはISO27001を取得した。「防犯や地震や水害などに対する防災システムを整えることでお客様のデータを守りきる」という。顧客ごとの異なる要望に、より柔軟に対応するという、新たなビジネスを展開するための大仕掛けなツールとして、このデータセンターはすでに稼動している。
 「現在、我が社では約1700台のサーバーが稼動しています。私たちがお預かりしているデータは、ホームページやECサイトなど様々ですが、そこにある一社一社の業務を支えています。これを守ることこそが私たちにとって最も大切なこと」だと北川氏は語った。
 一貫したユーザー志向で、顧客の想像を超えて要望を実現していく北川氏の姿勢。そこに沈滞した社会状況を打ち破るひとつの方向性を見出すことが出来た。

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