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サクセスリポート  

■株式会社 創結
〒619-0244 京都府相楽郡精華町北稲八間甲斐ノ元16-7
TEL.0774-94-4118 FAX.0774-95-3179
URL.http://www.souyuu.jp/
 至高の輝きを放ち、勝者を讃えるトロフィーや優勝カップ。京都府精華町にある株式会社創結は、これら表彰グッズをオーダーメイドで手がけている。設立からわずか3年で、ボクシングの世界戦を始め、K-1グランプリなどのビッグイベントから、数々のオファーを受けるまでに急成長!そんな同社の“ものづくり”の原点と成功の道程を、代表取締役・松本一実氏に伺った。
 
 
 「感動を形に変える、お手伝いをしたい―」。仕事に込めた熱い思いを語る、松本代表のものづくりの原点は、創結創立の3年前に遡る。当時、表彰グッズメーカーに勤めていた同氏は、工場長を務める一方で、自社製品を持って営業に廻る“外商業務”を担当していた。あるとき中学校にメダルを納めることになり、そこで仕事に対する考えを根本から覆す出来事を体験した。「担当した学校はいじめや教師に対する反発、暴言に満ちた、まさに崩壊した教育現場でした。荒んだ現状を立て直そうと、教師達は悩み抜いた末、何か一つでも頑張った子供たちに、メダルを与えることにしたのです」。  
 当初は、人前で褒められることに戸惑いを隠せない子供達だったが、地道な取り組みは功を奏し、やがて子供達はきちんと挨拶をし、教師の話に熱心に耳を傾けるように。その姿を目にし、驚きを隠せない同氏に校長は「君達の仕事は人の心を変えることができる」と声をかけた。それまでは単純に“モノを造ればいい”と思っていたが、このときから“何のために作るのか?”と考えるようになったという。自分の仕事にこれまでにない誇りを感じ、生涯かけて取り組むことを決意した。
 
 一念発起で独立した同氏を待ち受けていたのは、厳しい業界の現状だった。他社メーカーのカタログ製品の売込みから始めたものの、表彰する行為自体の激減で需要が落ち込み、受注ゼロの日々が続いた。安価な外国製品との価格競争も同社を圧迫。逼迫する経営状況のなか、打開策を模索し続ける同氏だったが、あるとき現状打破の糸口を掴む。それは「子供の背番号と名前が入った、ユニフォームのキーホルダーが欲しい」という、少年野球のクラブチームに在籍する少年の母親の言葉だった。「聞いた瞬間、コレだ!と思いました。選手が背番号を獲得するまでには、血の滲むような努力があり、個々の番号に対して強い思い入れを持っている。そんな子供なら、キーホルダーをきっと欲しがるはずだ!」。  
 早速その子のために作ったところ、それを見たチームメイトも、さらには父兄からも相次いで注文が入り、対戦するライバルチームにまで、瞬く間に広まった。  
 さらに「もっと多くの人の心を掴めるに違いない」と確信し、かねてより開設していたオンライン販売の自社ホームページに商品を掲載したところ、100件以上のオーダーが寄せられ、予想以上の大反響を獲得!しかし喜びもつかの間、「受注した個数を従来の作り方で作ると時間がかかりすぎてしまい、商品発送が遅れてしまった」のだ。インターネットで注文する顧客は、発注してから即商品が届くと思っているため、喜びは一転、クレームの嵐になってしまった。”オーダーメイド“という、自社の目指すべき方向が見え始めた今、「ヒットの種を枯らすわけにはいかない!」同氏はすぐさま商品の土台とデザイン後の加工を施す取引先の工場に、製品改良の相談を持ちかけた。連日深夜まで打合せを重ね、試行錯誤を繰り返した末、材質と表層コーティングの方法を一新。1週間かかる製造日数をわずか2日間に短縮した。やがて商品はネット流通の波に乗り、1ヶ月でおよそ1000個もの売り上げを記録するまでに。  
 さらに同氏はこの出来事により、提携工場の存在こそが、今後の事業展開のキーと考え、開拓に乗り出す。「表彰グッズの材質は金属、クリスタルなど多種多様で、オーダーメイドを迅速に行うためには、それぞれ得意分野の工場のバックアップが不可欠と教えられました。あらゆる状況に対応できるよう、自社のワンセクションと思えるほどの信頼関係を築き、連携を深めた」という。地道に紡いだネットワークは、国外にも広まり、現在30社の提携工場を持つまでに。同社の飛躍を支える基盤となった。
 
 先の成功で”顧客の声こそ商品開発の生命線“と把握した同氏は、より多くのユーザーの声を収集するため、インターネットを活用した。1個から注文できるオーダーメイドをウリに掲げたところ、材質や形のほか商品への装飾など多彩な要望が寄せられた。他社に断られ、同社に依頼するケースもあったが、そんな注文こそ同氏は積極的に取り組んだ。他社が躊躇する状況に、なぜチャレンジできたのか聞くと「オーダーメイドでたった一つの商品を造るとき、企業のネックになるのは技術よりもコストのほう。デザインから制作まで莫大な時間と労力がかかる商品を、只一つ作るのではコストパフォーマンスが低すぎる。作っても請求する費用は高額です。そこで、お客さんに頂くのは材料費と制作費のみにして、代わりに自社製品として販売させて貰うことにしました」。  
  一度きりの商品で終わらせるのではなく、それをネット上で公開し、新たな購買層を募る。独自のシステムは、“オーダーメイドは高額”という概念を打ち破り、顧客のアイデアを種に他社にはない独自製品を次々に誕生させた。こうして生まれた商品は、外商先でも大好評を得て、同社の躍進を後押ししている。
 
 2006年のK-1グランプリを始め、世界バンダム級王者決定戦、柔道世界大会など、昨年より同社は、国内有数のビッグイベントからオファーがかかっている。同氏がなにより嬉しいのは、トロフィーを受け取った勝者を見て、その感動を糧に新たに頑張る人が増えることだ。
  一人ひとりの情熱や感謝、賞賛をカタチにする創結の表彰グッズ。そこには、既製品にはない”個性“というきらめきを感じる。モノだけではない、心が宿る商品こそが、本物の輝きを放つのだと感じさせられた。

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