
現在事業の中心となっている大手ポンプメーカーとの取引きが始まったのは、バブル崩壊後のことである。振興公社の誘いから先方の商品を見に行ってみたところ、「正直、時代遅れの他社商品にびっくりしました。そこで早速自社の製品を提案しました。それから取引していただけることに。」そして信頼を深めるきっかけとなったのは、展示会商品の製作依頼である。「上層部の方から直接、『展示会で発表するバキュームポンプを作ってくれないか』との依頼があったんです。その方は、この商品製作が失敗に終われば、首が飛ぶところまで追い込まれていました。」原田社長は厳しい納期にも関わらず、徹夜を覚悟で引き受けた。その商品は、当初渡された図面に沿って作るという手はずだったのだが、期日は迫るが一向に図面は来ず、このままでは間に合わないと感じた社長が、自らアイデアを出し製作。その結果、出来上がった商品から逆に図面化された。その機転と商品の質の良さが買われ、その後大きな信頼を勝ちとることになったのである。