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サクセスリポート  

居酒屋 弥次喜多
〒629-2303 京都府与謝郡与謝野町石川877
TEL. 0772-42-0843  FAX. 0772-42-3193
 京都府の北部に位置する与謝野町の、居酒屋「弥次喜多」。オープン以来、長びく不況で居酒屋離れと云われる中でも、客足は途絶えることなく、業績を延ばし続けている。その理由は、来店客の要望を叶えた、地元では新しいスタイルの店づくりにあった。
 
 
 店主・公手弥氏は、寿司屋や惣菜の卸売業など、10代の頃から常に飲食業界に携わってきた。長年の経験を経て、与謝野町にオープンさせた居酒屋「弥次喜多」は、店内はカウンター以外全て個室。「絶対に個室を充実させたかった」と語るように、同氏が、地元には珍しい「個室居酒屋」に着眼したのは、10年以上勤めた地元の居酒屋での経験からだった。
 その居酒屋で、同氏は女性客から「周りが気になって落ち着いて飲めない――」という声を聞いた。そんな来店客は少なくなく、改めて見ると店にあった唯一の個室は常に予約でいっぱいだった。「小さな町なので、隣のお客さんが知り合いということはよくあります。せっかく楽しく飲みたいのに、どうしても気兼ねしちゃうんですよ」と語る同氏は、そのとき、地元で求められている居酒屋は“個室が充実している店”ではないかということに気付いたという。そこで、「プライベートな空間でお酒を楽しみたい」要望を叶えるために、自ら店を構える決意をした。
 オープン当初から、同氏がこだわった個室のスタイルは好評を得て、その評判は口コミで少しずつ広がった。また、地元・与謝野町だけでなく、近隣の宮津市、京丹後市からの集客にも成功。個室を増やせば、今後更に顧客獲得ができると確信し、今年3月に、店内全てを個室に改装した。客足は途絶えず、常連客もさらに増えてきているという。

 
 店は繁盛していたものの、同氏にとって「経営」は全くの未知の世界。そんな同氏をサポートしたのが地元の与謝野町商工会だった。
 そこで帳簿の付け方などの経理や税務処理、労働保険関係、店舗改装のための資金調達など、経営の基礎について少しずつ習得していった。不慣れなため大変苦労したという経理業務だが、商工会のサポートもあって初めての確定申告は税理士に依頼することもなく、全て自分で対応したという。
 専門的な知識を要する経理を他社に頼る企業は多い。しかし、同氏のように商工会のサービスを利用し、自ら対応することで、経営の状態を把握するとともに、事務処理コストの軽減にもつながる。

 

 オープン以来、人気を博している理由の一つが、独創的でサプライズ満載な料理の数々だ。同店の「米ばくだん」というメニュー名のライスコロッケは、花火がさしてある状態で運ばれてくる。一緒に出される3D眼鏡でのぞくと、花火が星やハート型に見えるしかけ付きだ。また、飲酒運転取締りが強化される中、送迎サービスも充実させた。一日の営業で100kmも車を走らせることもあるというが、評判は大変良く、結果、他地域からの顧客を更に増やすことにつながった。
 同店が提供するこれらサービスを達成していくには、同氏は従業員の主体性を育てることが大切だという。「宿題を出すんですよ。料理の内容やメニュー名など色々。ただ、言われた通りに働いてもらうのではなく、自分の考えを持ち、積極的に仕事に対して向き合ってほしいですね。人生の中で多くの時間を費やすことになる“仕事”を充実し、そして、この店での経験を自分の財産にしてほしい」。 
 最後に、店を経営していく上でのモットーについてお伺いすると、「常にお客様に試されているということを忘れずに、接客に努めていくべきだと思っています。人と人との関わりを大切に、お客様の“ありがとう”とお客様への“ありがとう”のために心のこもったサービスをこれからも続けていきたいです」。来店客が何を求めているのか、常にアンテナをはり、顧客の要望に対し真摯に対応してきたこと、そしてなにより店主の人柄が、今後さらなる店の発展に繋がっていくのであろう。
 自分の下の名前“弥”、次男坊であることから“次”、喜びの多い店にしたい思いから“喜多”という由来からきたという「弥次喜多」。今夜も、店内は来店客の楽しい笑い声に満ち溢れている。


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