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サクセスリポート  

三和タオル製織株式会社
〒620-1425 京都府福知山市三和町菟原下166
TEL. 0773-58-2218  FAX. 0773-58-2249
 オリジナルのオーダータオルを受けつけるネットショップ「オリジナルタオルを作りま専科」が今、熱い注目をあびている。
革新的な事業展開を実現した次期代表藤田昌己さんに、業界の常識を覆した発想の転換と、事業立ち上げの秘訣に迫る!
 
 
 京都府の北部、福知山市で40年以上に渡りタオル製造を手掛ける三和タオル製織株式会社は、不振にあえぐ繊維業界において革新的な事業展開で注目を集める企業だ。
 もともと同社は、大手企業からの受注による大量消費向けのタオルを製造する下請け企業だった。「厳しい資金繰りの会社を救うために、発想の転換を迫られました。それまで弊社は業界の常識に従って大手からの受注を狙い、注文通りのタオルを製造して卸していましたが、それでは一つでも仕事が減るとダメージが大きい。そこで、小さな仕事を集めて積み重ねれば十分に仕事ができるのではないか?と考える様になった」という。熟考の末、辿り着いたのは、今まで自社が培ってきたタオルを「織る」技術と「プリントする」技術を活かしたオリジナルブランドの商品を販売するネットショップ「たおる小町」の立ち上げである。
 たおる小町はその名の通り女性をターゲットにした商品だ。柔らかな肌触りと洗練されたデザインで、ハンドタオルからバスタオルまで豊富なラインナップが揃う。生地作りからデザインまで手掛けた商品を手ごろな価格で販売すると、売上・知名度ともに徐々に上がり、業界からも一目置かれる存在となった。しかしこだわりの商品づくりゆえの単価の高さと、ネット販売でかかるクレジットカードの手数料、ショッピングモール等への経費が予想以上に膨らんでしまった。このままではビジネス展開がきびしい――そう判断し、やむなく新商品追加をストップさせた。
 一旦は、振り出しに戻ったかの様に思えるが、この「たおる小町」を通して得た経験でビジネスチャンスをつかむことになる。
 「これまでは、どんな人の手に商品が渡っているのかも分からずタオルを作ってきたのが、ネットショップを通し自社で販売まで行うことで、お客様と接する機会が生まれました。そのことがきっかけで、これまで常識だと思っていた物流に新しい流れが見えるようになったのです。」今までの注文をふり返ってみても、企業向けのものよりも個人向けの記念品やノベルティとしての注文が急増していたことに改めて気付いた。

 
 そこで個人向けに「オリジナルタオルを作りま専科」という、名前の通り、オーダーメイドタオルを製作するネットショップを立ち上げた。すると、スポーツチームの記念品やイベントのためのオリジナルタオルの注文が殺到した。そこには「タオルで記念を残したい」という多くのニーズが隠されていたのだ。さらに、他社との差別化を図るために、一般的には見積りを出すまで分からなかったタオルの発注価格を、ひと目で分かる価格表にして公開した。見積りを依頼しなくとも、ホームページを見るだけで商品の代金が把握でき、ロスを省くことでスピーディーな取引が実現できるとあって、顧客数は目に見えて増えた。これまでにない顧客目線のサービスが功を奏し、今では関西のみならず、北は北海道から南は奄美大島までユーザーは広がっているという。変化してきた消費者のニーズを読み取り、時代にマッチした売り方へ転換させたことが新たなニーズの発掘につながったのだ。

 
 4代目が挑んだ改革により、インターネットの利点を最大限に活かして新たな販路を手にした同社であるが、企業を維持するためにはこれからも常に時代のニーズに合った事業転換が求められる。その実現にリスクはつきものであると考えた同氏は、商工会より紹介された「知恵の経営報告書」の作成を決意した。客観的な意見を取り入れることで、新たなニーズを探し、固有の技術やノウハウである「知恵」を掘り下げ、次なるステージに備えようというのだ。
 「現在、作成中ですが『企業理念が甘い』と厳しい指摘を受けました。これからも変革のために幾度となく大きな選択を迫られるでしょうが、その時に自社の『芯』となる企業理念を持つことが重要で、それを今模索中です」

 
 「お客様や他業界の人と接して世の中のニーズを発掘していきたい」と好調の中でも現状に甘んじることなく、変化に対し柔軟でありたいという姿勢が伺える。苦境を生き抜いた同社が受身の企業では生きていけないと身を持って体験したからこその発言だ。これ程の改革を行っても、常にアンテナを張り、企業の維持に拘り続ける同氏であればどんな困難も着実に乗り越えていくだろう。

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