と協力し合い、順調だった事業にも2007年のサブプライムショック以降、不景気の波が押し寄せた。大手のハウスメーカーや大手住宅販売業者も、こぞって地方進出に力を入れ始める。「大手には豊富な住宅設備のラインナップや、建築に関する最新技術に加えて、"ブランド力"や"ネームバリュー"という信頼がある。同じ土俵に立つためには、同等のレベルの知識や技術を獲得するための努力が必要です。そこで、弊社が各メーカーから講師を招き、工務店を対象とした勉強会を開催することを決めました」。木材の加工の知識を持つ同社と工務店、そして、これに協力する様々な住宅設備メーカーの力を結束させられたからこそ、あらゆる分野での新しい知識をインプットする勉強会が実現できたのだ。
同社の取り組みを飛躍的に広めたのが、年に2回のイベントの開催だ。一つは工務店を対象に開催し、春の需要に向けての木材の販売を行う"木材祭”。そして、もう一つが今年の秋で10回目になるウッド住まいるフェア"だ。
"ウッド住まいるフェア"とは、地域の一般顧客へ住まいづくりに関することを、総合的にPRしていくイベントである。工務店やメーカーと協力し、来場者に家についてのアドバイスや住宅設備の販売を行う。また、集客のために家族で楽しめるサービスも企画し、今では2日間で1200人もの来場者がある。地域の建築業者がまさに"一丸"となったからこそ開催できるイベントだと言えよう。
同氏はフェアに関して「大切なのは来場していただいて、我々のことを頭の隅に置いてもらうこと」だと言う。"お風呂が壊れた""介護向けの住宅にリフォームしたい"、いつかそんな需要が生まれた時に声をかけてもらうことが目的だ。その甲斐あって徐々に、フェアがきっかけの注文が増えているという。5年後、10年後を見据えて、焦らずじっくりと地域のお客様と信頼関係を築き上げていく。家というのは、長い年月を一緒に過ごす家族の一員のような存在。「坂矢木材株式会社は、いざという時に頼りになる、何よりも身近な存在でありたいと考えています」。
不景気、人口の減少と、建築業界の情勢は楽観視できる状況ではない。好景気には、年間160万戸あった建築数も、今では約半数の80万戸を割るという状況だ。「以前の勢いを取り戻すために、積極的に新規開拓をしていきたい。そのために多様化するニーズに対応できる力を持った企業であり続けなければならない」とこれからの目標を語ってくれた。常に新しい情報に目を光らせ、工務店の成長を後押しする心強いパートナーとして経験値を上げてきた。その経験値が、これからも地域の建築業界を牽引し盛り上げていくだろう。