初めは周囲から勧められネット販売からはじめた。しかし半年たっても音沙汰なく、失敗だったのではないかと不安になったという。良い商品を作っている事には自信があった。だがその効果を伝える事ができていないのではないかと考えた。そこで商工会に相談に行ったところ、百貨店で行っている販売促進会への出展を紹介され、80歳目前の津山氏自ら販売に出向く事にした。初めは今までやった事のない販売方法に抵抗があった。柿しぶ染は知っていても効果まで知る人は少なく、ふきんにしては500円と高価である。素通りする人も多かった。従業員の声や、商品にかけてきたこだわりには自信があった。素通りする人には、柿しぶ染の効果だけでも知ってもらおうとビラを制作して配布した。足をとめてくれる人には「柿しぶ染めふきん」の良さを丁寧に説明した。すると次第に客足は増え、お客様に柿しぶの効果を説明し納得して買ってもらえるようになった。時には初日に買ってくれたお客様がその効果を実感し、翌日に友人へのプレゼントとして大量に購入してくれる事もあった。「徹底的にお客様と話し合う事で、段々と柿しぶ染めの魅力を理解してもらえるようになった。何よりも自分で作った商品が自分の手で売れる事が嬉しかった。」と津山氏は語る。
今ではリピーターも多く、お客様から"次はこんな商品を作ってほしい!"と多くの要望をもらうという。津山氏にとって展示促売会は販売しながらリサーチができる場である事がわかった。「全国を回って商品を売る事に疲労を感じない。むしろ楽しくてたまらない。」楽しんで仕事をしている事がお客様にも伝わっているように感じた。