自社開発製品の中で現在、特に注目しているのは「農機具」である。現在、都会暮らしだった人が退職後、田舎で農業をしたり、若者の農業生活も増加している。京丹後市でも農業で生計をたてている人も多く、近所の人も農機具が壊れたらよく修理してほしいと松田氏の元を訪れるという。地域の人とのふれあい大切にする松田氏は全て無償で修理を請け負っている。そこで、地域の方との対話が新たなヒントとなるという。「地域の方にはどのような作業が体力的にしんどいか、どの作業が手間がかかって大変かという世間話を聞く。昨年は、特に不景気で仕事がなく暇を持て余す時期もあった。そんな時こそ、修理依頼をしてくる地域の人達の地元の声をゆっくりと聞けるチャンスであり、そのチャンスが自社製品開発のチャンスに繋がっていく。農機具にはまだまだ足りていないモノが多く、それを宝物として商品に変えていきたい。」と松田氏は意気揚々と語ってくれた。
最近はその声を元に「回転式穴開け機」という農機具を開発した。畑でよく見かける黒いビニールシートに苗植え用に穴が開いている物は全て農家の人が手作業で行っている。「ビニールシートの上を回転させる事で、一定間隔で穴を開けるため、いちいちしゃがんで穴を開けるという作業がなくなる。自分の造る製品でもっと作業が楽になればいい。」という松田氏の強い思いから作られた製品である。