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サクセスリポート  

■株式会社 ヒサシ ヤマモト コーヒー『Unir(ウニール)』
Unir(ウニール)本店 〒617-0823 京都府長岡京市長岡3-27-4 TEL・FAX 075-956-0117
Unir長岡天神店  〒617-0824 京都府長岡京市天神1-3-21 TEL・FAX 075-954-7001
http://www.unir-coffee.com/

 洋風の建物が通りの中で一際目立つコーヒー豆専門店『Unir』。スペイン語で「結びつける」「ひとつになる」という意味を込めた「Unir」はその名の通り、コーヒーで人と人とを繋げている。2006年のオープンから多くのリピーターを増やしていった「Unir」の魅力に迫る!!
 
 
 真っ赤なヨーロッパ風の外観が目印の『Unir』はコーヒー豆の販売事業を行っている。店内に入るとたちまちコーヒーの良い香りで包まれるこの店は代表である山本氏が、特別なコーヒーと出会い、もっと多くの人にこのコーヒーを知ってほしいという強い思いから開業された。
 設計会社に勤めていた山本氏は、元々コーヒーが大好きで色々なコーヒーを試していた。そんなある時『スペシャルティコーヒー』と出会った。そのコーヒーは従来からの生豆の姿、形だけではなく、カップに注がれた時のコーヒー液が評価されるという今まで飲んでいたコーヒーとは味も考え方も異なる素晴らしいコーヒーであった。「このコーヒーをもっと多くの人に飲んで欲しい。」そんな思いが自然と湧きあがった。出会いから1年、自家焙煎のコーヒー豆専門店を夫婦で開業する事を決意し、開業への準備を始める。
 コーヒー以外は何も知識のない状態からのスタートだった。それからの2年間は退職した設計会社から個人的に仕事をもらいながら開業する為の準備に費やした。全国各地のコーヒーセミナーに参加し、コーヒーの注ぎ方・焙煎方法など開業に向けての知識を身につけた。開業の半年前、商工会へ開業資金借り入れの相談に出向いた。1年半の間に書きためた30枚程の事業計画書を持ちこみ、コーヒー豆の販売がしたい事を伝えると単純なコーヒー豆屋では事業が成り立たず経営が難しい事を告げられた。しかし山本氏はそれに屈する事なくスペシャルティコーヒーの魅力を一心に説明した。自分がこのコーヒーと出会って感動したように他の人にも伝えたいという強い気持ちがあった。山本氏の情熱を知った担当者はこれからのサポートを約束した。

 
 2006年4月「Unir」は自宅の1階を改装し開店にこぎつける。日本の自家焙煎している店舗は暗く入りにくい印象があった為、海外のコーヒーショップや雑誌を参考にガラス張りにし、明るく誰でも気軽に入れるような、そんな店を目指した。もちろん開店に対する不安もあったが、自分を信じて向かうしかなかった。それでも開店してしばらくは、暇な日が続き、1日の売上がコーヒー1杯の420円という日もあった。しかし山本氏はあきらめる事なく、訪れてくれたお客様には、丁寧にスペシャルティコーヒーの魅力を説明した。仕入れにも力を抜かなかった。いい豆の情報が入ると生産者の元に出向き、世界各地へと足を運んだ。また商工会から紹介を受け、地元・長岡京のお祭りなどにも積極的に参加し、地域の人に知ってもらう機会を大切にした。そんな地道な努力を続けるうちに、少しずつではあるが、リピーターとなってくれるお客様が増えていった。そして2008年、「Unir」をもっと多くの人に知ってもらえるように、人通りが多い駅前に2号店となる長岡天神店をオープンさせるまでになったのである。
 月に何回かはコーヒー教室も開催し、これがなかなか人気を博しているという。普段来店して頂くお客様にスペシャルティコーヒーを知ってもらい、家でおいしいコーヒーを飲んでもらう為の講座だったが、開店目的で参加する人も多く、実際に7件ものコーヒーショップがオープンしたという。

 

 山本氏にとって、スペシャルティコーヒーは知れば知るほど魅力的だった。一般的に飲まれるコーヒーとスペシャルティコーヒーには大きな違いが3つある。1つ目はお客様に出すコーヒー液自体が客観的に評価され、それで良いコーヒーか悪いコーヒーかが決まる。2つ目はトレーサアビリティー(履歴)が明確である事。いわゆる生産者や豆の収穫日などが記録されていて安全性が高いという事である。そして3つ目はサスナビリティー、「維持継続」である。おいしいものを継続的につくっていく為には生産者がより良いものをつくれる環境を維持しなければいけない。おいしいコーヒーができたら販売者はそれに見合った適正な価格をつける。いわゆるフェアトレードというものだが、それを続ける事で、さらにおいしいコーヒーが生まれるのだという。また山本氏は、世界中のコーヒー豆が審査される「カップ・オブ・エクセレンス」という大会で、800種類のうち10位以内に選ばれたスペシャルティコーヒーしか購入しないという強いこだわりがある。コーヒーの命と言われている焙煎作業も、焙煎機をパソコンで管理しているという徹底ぶりだ。「良い豆をさらにおいしく飲んでもらう」という揺るぎないこだわりを貫いている。


 山本氏に店を経営する上で大切にしている事をたずねた。「良い豆は生産者が絶対おいしいモノをつくりたいという気持ちでつくっている。そして僕たちもおいしい豆を強い思いで求める。その気持ちが情熱だと思っています。お客様にも情熱をもって接客をし、情熱を持ってエスプレッソを抽出する。全てが情熱に集約されているんです。その上で、コーヒーの品質、サービスの内容など、継続して素晴らしいものを提供したいんです。」大切なのは『情熱』と『継続』だと教えてくれた。店のスタッフもその教えに基づき情熱を持った接客を常に心がけている。
 夫婦2人だけで始めた店も今では新たにスタッフ4人が加わり、知識と技術を兼ね備えたコーヒーを抽出するバリスタとして活躍している。そんな「Unir」の今後の目標は、「Unirカフェ」を開店する事である。当初は本店に喫茶スペースを設けていたが、店が人気になった事で、そのスペースを閉鎖せざるを得なくなった。山本氏はトップレベルのコーヒーを気軽に楽しめるカフェをオープンさせたいと考えている。そしてスペシャルティコーヒーの更なる普及を目指す上での課題が、販売量の増加である。欲しい時に欲しい豆を手に入れる為には、大量購入が前提である。その為には販売量を伸ばしていく事が必要なのである。
 とことん、スペシャルティコーヒーの魅力にハマった山本氏。これからももっと多くの人のコーヒーに対する概念を覆していってほしい。




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