「今から思えば自信のある商品なのに、評判はイマイチだった」と西原さん。現地で仕入れた情報によると、SAなど商品の販売現場では出荷時よりも品物の食味が格段に落ちていたという。理由は商品の「解凍方法」だった。当時は今と違い商品を冷凍の状態で出荷し現場で解凍ののち販売していたが、寿司や弁当のように異なる素材を同時解凍するのは難しく、寿司などは解凍時にドリップが出てしまい著しく食味を損なっていた。さらにこれらの流通主体は、0〜10度で素材の食感や風味をフレッシュなまま保つ「チルド」に移行しつつあり、これが競合他社との差異になっていた。
「地域の看板を背負っている以上、味に妥協はできない」同社は早速、出荷形態をチルドへ転換した。やがて本来の味を提供できるようになった商品に評判の声が上がり始め、その声は販売店から営業マンに伝わった。そうした評価は本社の開発へとフィードバックされ、更なる品質向上に繋がった。また同町では同時期から「おから」を使った「自然循環農業」を積極的に取り入れ始めており、町内産の米作りの質もさらに底上げされ商品のブランド化を後押ししていった。米は昨年まで数年間、日本穀物検定協会の食味ランキングで最高の特Aにランクされたこともある。