三和モーター商会は、京都府中部の京丹波市と福知山市の間の山間に位置する三和町にある。自動車販売と整備そして自動車保険を扱う同社は、社長の真一氏と奥さんそして整備士の従業員三名という小規模な会社ながら、ガソリンスタンドチェーンやカーディーラーとは差別化した独自のサービス提供やアイデアで、地元の人々の心を掴み続けている。
三和モーター商会の創業は51年前。生まれ育った三和町で商売をしたいと心に決め、京都市内の京都ホンダモーターで修業をしていた真一氏の父・太一氏が地元へ戻り、自宅を改装して自転車とバイクを取り扱う店として開業した。自動車の販売と整備を学んで来たものの当時の三和町地域には自動車の需要はほとんど無く、バイクさえもまだまだ少ない状況ゆえの選択だった。しかし、開業してすぐにバイクの販売が順調に伸び、間もなく自動車を取り扱うようにもなった。自動車時代の到来を感じ取った太一氏は新しく国道9号線が出来たのに伴い、その沿線に工場と店舗を移転した。
現社長の真一氏が誕生したのはこの頃のことだ。
「僕には姉がいて、小さな頃から姉には『あんたは家を継いだらええんやから、道が決まっててええなぁ』と言われて育って来たんです」という真一氏だが、中学生の頃には「決められた道」ではなく「ものづくり」に憧れ、舞鶴の高等専門学校への進学を選び、卒業後も自動車とは全く関係の無い会社に就職した。
しかし、就職して二年後、それまで自ら自動車運転免許や整備士資格を取って家業を支えて来た母親が体調を崩した事をきっかけに真一氏は父親の会社を継ぐことを決意。この頃すでに次々新しくなる自動車について行けなくなり、自社では整備をほとんどやっていなかったため京都市内の自動車販売会社に転職し、修業した上で故郷へ戻り父親の会社に入社。
それから8年間父親のもとで働き、平成12年に新社長に就任、事業を継承した。