無農薬で育てた新鮮な牧草のほか、竹、樫など自然の草木を全国27の動物園や水族館に1年365日届ける企業・クローバーリーフ。
代表取締役の西窪武さんが、この動物園の飼料ビジネスに取り組むきっかけは、今から30年前のことだ。
結婚を機に始めた酪農家畜用の乾燥飼料作りが、安価な輸入乾燥飼料の煽りを受け事業存続の危機に直面した。「せっかく夢を持って始めた事業を諦めたくない」――そんな思いを抱えている時、偶然にも京都市動物園に草を納めていた農家の先輩から高齢のため引退するので事業を引き継がないかとの声がかかった。それまで飼料作物の需要は酪農か競馬くらいしか思いつかなかった西窪さん。
すぐに飛びつこうとするが、この話は市が過疎地対策で動物園用の飼料を作ることになり流れてしまう。
だが折角のチャンスを諦めきれなかった。現在、同社で企画・広報を担当する妻・アケミさんの勧めもあり市の栽培農地に視察に訪れた。
そこは真冬だと1mは雪が積もる場所だった。「冬期の収穫は難しいと感じました。でも自分たちの農園は南部にあり冬でも青々と牧草が茂っていた。そこで納入が滞る時期を狙い、とびきり新鮮な牧草を持ち込んだ」という。結果、翌冬の3か月間の契約を獲得。これを機に牧草持参で他の動物園にも売り込みに行くと思いがけず好評で、わずか3年で7か所の動物園から契約を獲得した。