次に取り組んだのは、施工途中の骨組みや材質などを見られる「構造見学会」と、完成後の出来栄えを体感できる「完成見学会」の実施である。気軽にじっくり見て頂くため、営業スタッフを置かない代りに建材のパーツ展示や各部のこだわりを記した手作りボードやPOP、パンフレットなどを設置し楽しみながら回遊できる仕組みを作った。施工に携わった職人に質問し、実質的な家づくりのアドバイスを得られるのも好評だ。
「当社のこだわりを理解してくれる人にこそ来てほしい」と藤岡さん。開催を告知するチラシの段階で関心を持たれた方だけに来てもらえるように工夫をした。例えばキャッチコピーで「20代の子育て夫婦が建てた家が見られる」や「暖炉が素敵と思う奥様へ」など施工主との対話から導き出した生の声を生かしこんなことが分かる?、こんな人に向いた見学会?ということを訴求。
チラシのデザインもこだわった。文字を見ただけで藤岡工務店と分かるよう全て藤岡さんと奥様の手書きで統一。対象とする世代で色味やしつらえを変えたり、手に取るシーンを想定して紙質や形状を変えるなどしている。表現方法などのアイデアは「同業種の中で、一番最初に取り入れることが大切」と藤岡さん。その手法として異業種のDMやチラシなどを研究するのも効果的とか。
どれほど美しく作ろうとも、どんなにお金をかけようとも反応がなければただの紙屑である。知恵を絞ったアイデアで他社より目立ち、心響かせるには地道な努力と研究が必要なのだ。