のうゆう会の結成は昨年3月。近年の米価の低迷を受け、新しい収益を求めるために京丹後市の農家7名で立ち上げた。六次産業で生姜に注目した理由は「獣害にあいにくい作物であること」に加え、「この地域では戦前から食べられてきたもの。また最近は美容や健康のために生姜を使った食品やアイテムが増えている」こともあり、期待は十分にできると踏んだためだ。
商品開発に先立って、メンバーで生姜の一大生産地・高知へと偵察に赴いた。様々なアイテムから、売れる商品の可能性を探り最初に着手したのは、故郷の昔懐かしい味を復刻させた「生姜のたいたん」である。「この地域では、おばあちゃんおじいちゃんの時代は生姜を薄く切って甘辛く炊いたものをおかずにして食べていたんです。今では誰もやらなくなったんですけど、あつあつのごはんと一緒に食べると美味しい。生姜の名産地は他にある。ここならではの商品を考えた」と越江さん。
生姜の加工は知人からの紹介を通じて京都市内の総菜メーカーに依頼した。メーカー側も農商工連携として六次産業に関わる新たなチャレンジに意欲的に取り組んでくれたそうだ。やがて商品が完成し、その後農林水産省の総合化事業計画に応募したところ見事認定。助成金を得て、現在次なる商品「粉末生姜」の商品化に取り組んでいる。粉末生姜の着想は高知での偵察で得た。生姜は日持ちしない作物である。作り手としても、秋の収穫から長期保存は難しい。しかし、このように粉末にすることでフレッシュな香りや風味を長期間保つことができる。料理に使ったり、飲み物に入れたり、そのまま香辛料として振りかけて味わうなど様々な用途が期待できる。「何より、粉末生姜という商品で無農薬、安心安全というのは珍しいと思います。味も香りも原材料が良いから最高だと思います」と自信を覗かせる。