ビジネストレンド京都
サイト検索
 
サクセスリポート  

株式会社 マサミガーデン
〒617-0004 京都府向日市鶏冠井町七反田17
TEL.075-922-7121 FAX.075-934-0538
http://masami-garden.com/


"本当に欲しいもの" "本当に価値のあるもの" しか選ばれなくなってきた昨今、消費者の心を掴むキーワードの一つは「提案力」である。今回は社内各部署の連携による“ チーム総力戦” で、新たな価値を切り拓く3 代目社長の取組みをご紹介する。

 
 

店の軒先を、色とりどりの鉢植えの花々や観葉植物が彩る。向日市にあるマサミガーデンは、造園土木とエクステリア(外構)の設計施工を軸にグリーンレンタル、ガーデニン グショップなど6つの事業で快適な生活・オフィス(商業)空間をトータルプロデュースする企業だ。

創業は昭和38年。元は造園と庭木や観葉植物の販売・レンタル業から始めたが、現会長・吉村正美さんの「お客様に安心と本物をご提供したい」という思いから、農園で植物栽培も手掛けるようになった。父・正美さんの跡を継いだ三代目・吉村徹さんは芸大卒業後、大手住宅メーカーの設計職を経て平成7年に入社。平成19年に代表取締役に就任し、以降「グリーン&フラワーで造る心地よい生活空間」をキーワードに積極的に事業を展開している。

 

吉村さんが入社以来、注力してきたのが庭や門回り、カーポートなど家の外回りのエクステリア設計・施工である。特に個々のライフスタイル・ライフシーンの要望を具現化した"豊かな暮らしをイメージさせる"提案が好評で、その源泉はサラリーマン時代に遡る。全国トップクラスの大手住宅メーカーで年間100棟もの住宅の設計施工に立ち会い、家の外回りに関わることも多かった吉村さん。特に勤務地の大阪では住空間は外回り含め、トータルでのご提案が喜ばれることが印象的だった。

だが一方、京都では庭はお庭屋さん、家の外廻りは工務店で…という代々馴染みの専門業者にという考えも根強く、総合的なエクステリア提案は極端に低い。が、市場がないのは逆に開拓の余地があるということ。吉村さんは長年地域密着で培った厚い信頼と経験を生かし、新分野の開拓を決意する。そして社内にエクステリア設計室を設立。同設計室で顧客のイメージや要望を引き出し、設計・デザインして造園土木部で施工。最後に、植物のコーディネイト力を生かし園芸部で植物を調達、装飾する。エクステリア設計室は営業フロントとして全体の監理役も担う。

各部署の力を連携させた総合提案は、企業力の底上げにも繋がりつつある。「専門知識を持つ者同士が連携しあうことで、より高品質でクリエイティブな発想に繋がる」と代表。例えば、グリーンレンタルであれば、ルートワークで届けてメンテナンスするだけではなく、季節やシーンに合わせた空間演出という別次元からのアプローチを試みる。さらに、緑のある生活空間を実感してもらうための仕掛けとして、ガーデンショップにカフェを併設させた。アンティーク家具と緑が調和した洒落た空間で、花を買いに来た人、休憩に来た人々がガーデニングやエクステリアに出会うための窓口にもなっている。同社が創出する新たな価値は、着実に地域に浸透していっている。

 

昨年「知恵の経営報告書」の認定を取得した吉村代表。報告書で練った、認証1年後の事業戦略について特に注力する事柄を話してくれた。まずは新店舗出店への戦略について。品質の良さと継続できるメンテナンスが強みだが、先に企業・商品の認知度を高めるために、アンテナショップの出展に先駆けネットショップでの販売、年間2回の集客イベント等PR活動に注力。成果を上げてきている。

グリーンレンタル部門においては、販売エリアを大阪・兵庫・奈良にも拡充。空間演出を含めた一部企業・商業施設向けレンタル事業で受注も拡大しつつある。また、植物や園芸グッズなどの小売りを機に、造園・エクステリアへ繋げていくという生涯顧客化への仕組み作りを、独立採算性の組織作りを軸に確立中だ。これらの実績を通し、地域密着型の企業として公共事業のさらなる受注も目指す。

 

単なる施工業者や小売ではなく、顧客の心を動かす「提案力」を備えた強い組織作りに取り組んだマサミガーデン。6つの事業の力を有機的に組み合わせ、その成果を着実にあげてきている。

しかし「多種多様な企業ともいえるのですが、最近では一つ一つにこだわるお客様も増えておられ、特に専門性が求められています。総合提案はもちろん大切ですが、すべてがプロじゃないといけないのも現実の話。そのあたりも含めて、社員一人一人の教育をしっかりやっていかなければならない」と吉村代表。現在、マサミガーデンのスタッフはパート含めて22人。平均年齢は30歳と若い。「元気で勢いがあり、植物に関わる仕事についているだけあって心根が優しいことが長所だと思います。ご時世的には難しい部分もあるかもしれないが、仕事も遊びもどんどん経験して、自身のためにもなるべく多くを吸収していってほしい」と話す。

経営的な部分も含め、個々の仕事人としての意識を伸ばすための手段として独立採算を採用している。また、雇用主として取り組むべきことにも積極的に取り組んでいる。まず着手したのは、業界の慣例として定めにくかった就業規則をきっちりと定めること。そして、健康診断等の定期的な実施なども行っている。このほか、基本的な挨拶から顧客対応、社内の整理整頓まで見逃されがちなルールも定めた。大手企業に勤めた経験の中で、必要だと思うことは可能な限り取り入れていったという吉村さん。実施したからすぐできるというわけでは勿論ない-- "日々繰り返すこと"の重要性を繰り返し語っておられた。

プロとは何か?と聞かれると、技術や知識的なことを含め、様々な定義があるだろう。しかし、社会人として当たり前のことが当たり前にできる感覚もまた、プロであるための必要な要素であると考えさせられた。

 

学生時代に環境デザイン学で庭や公園の設計・デザインを学んだこと、大手住宅メーカーでの勤務経験、実家が造園関係だったことなど、様々な選択と巡りあわせが現在の吉村さんの進む道に繋がった。

中でも人との出会いや、縁の大切さを教えてくれた恩師ともいうべき人が、住宅メーカー時代の上司だという。「家業を継ぐことを決めた時に相談させてもらったのですが、社内にいる間に学べることも多いから--と、必要だと思われる経験や知識を得る場を率先して与えて下さいました」と当時を振り返る吉村さん。退職後は外部の協力会社として引き立ててもらい、現在もいいお付き合いが続いているという。

しかし、家業に入りたての頃はまだ「大手企業の社員気分」が抜けなかったらしく、それについてこの上司に、一度こっぴどく叱られたことがあったそうだ。そんな出来事を通して、改めて自分自身を見つめ直す機会になったと話す吉村さん。そんな恩師をはじめ、様々な人との関わりを通じて、常に相手の立場に立って行動することの大切さ、そして導き、時には厳しく叱り、見守ることの温かさを知ったという。

以下は、同社の社訓である。これまでの吉村さんの思いの集大成が込められているように感じる。

1) 何事にも興味を持って行動する。
2) 相手の立場にたって行動する。
3) 常に目標をもって行動する。
4) 仕事は自分自身がつくるものであって、与えられるものではない。
5) 挨拶は、すべての始まりである。
6) 自己の磨き、信頼に応える努力をする。
7) 人に対する感謝の気持ちを持つ。
8) 本当の強さを持つ。

 

商工会や造園組合など様々な組合活動のほか、業種を超えた交流にも積極的な吉村さん。ご本人のお人柄もあり、より広い人脈作りへとつながり、そのご縁でお仕事に繋がることも多いそうだ。

また、地域貢献については「昔はわかりませんでしたが、地域ってありがたいな。恥ずかしいことはできひんなと、今では本当にそう思います」とその大切さを話す。そんな吉村さんは、地元サッカーチームのスポンサー企業としても協賛しており、「細く長く応援することで京都に根差した企業を目指す」とその思いを語ってくれた。「基本はここなので、この向日市からマサミガーデンの歴史に根付いた“グリーン&フラワー”で、地域に密着しながら進めていきたい。花や緑は生活に潤いを与えてくれます。豊かな暮らしをご提案し、それによってお客様が末永く幸せを感じて頂けるように努力していきます」。

景気の悪化や震災の影響等による消費マインドの低迷で、“本当に欲しいもの”“本当に価値のあるもの”しか選ばれなくなってきた昨今。そんな中、この先、リフォーム需要は拡大するとされ、庭を始めエクステリア関連の市場ニーズが高まると予測されている。そのため、同関連事業は収益の多角化を狙った他業種からの参入なども年々増加しており、業者間での競争は避けられないものとみられている。そんな中で描く吉村さんの夢は、自社が中心となって、ガーデニングを地域のカルチャーや文化にまで成長させていくこと。得意とする「グリーン&フラワー」で、インテリアからエクステリアまで総合的に手掛け、地域No1のプロデュース力を発揮していく構えだ。

また、それを実現するための一環として商工会からの支援を受けられ、段階的に下記支援策の認定・承認を受けられおり、より実践的な経営に取り組まれている。これらの認定・承認を得ることによって、企業運営に役立つ様々な支援措置等を受けることが可能になるだけではなく、取り組むことで企業にとって様々なメリットも生まれてくる。もし、これらの制度に興味がある経営者がおられたら、現場の経営支援員がしっかりサポートの上、支援をさせて頂くので、詳しくはお近くの商工会にお問い合わせ頂きたい。

●経営革新計画の承認(平成23年5月26日)
●「知恵の経営」実践モデル企業の認証(平成24年6月26日)
●イノベーション促進雇用創出事業委託(平成24年度)


鮮やかに咲き誇る花々のように、マサミガーデンの夢が次々と花開いていくことを期待したい。

 

このページのトップへ

 

 

Copyright (c) 2002-2013 京都府商工会連合会. All Rights Reserved.