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株式会社セイコー男山本店は、介護福祉関係が注目を浴びる今、家電販売であり、また介護関係に進出し、成功を収めている。
一見、思いつかない家電と介護をうまく結びつけた谷内社長の独自の経営方針にその謎を解く。
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「困っているお客様に提案するうちに自分でもどんどんクリアしていかなければならないことが増えてしまって(笑)。それだけ地域密着型ということですよね。それが強みだと思っています。」
株式会社セイコー男山本店は、京都府八幡市男山にある。出店当時、男山には大型の団地建設にともない、利便施設を誘致する計画があった。その計画の中に家電部門があり、うまく出店することとなった。
「当時のお客さんは、9割以上が公団の人達で40歳くらいのいわばエリートサラリーマンでした。」 順調な滑り出しだったが、やはり家電には需要に限りがあり、一度購入すればしばらく付き合いに間が空いてしまうのが悩みであった。そこで終わらせないためにはどうしたらよいかを考えていた頃、お客様の家を出入りするうちに、「家の壁がはがれて困っている」、「階段の上り下りが辛い」などの悩みを多く聞くようになった。当初から付き合いのあるお客様はすでに60歳代になっており、新たな家電より、リフォームに対する要求が多いのが分かった。谷内社長は、次第に「ここがお困りじゃないですか?」と自ら提案していくようになった。
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谷内社長はリフォームなどに関して調べを進めるうち、通常、専門業者に直接依頼すると、金額が嵩み大袈裟になると思っておられるお客様が多いことが分かった。特に、高齢者や障害者用のリフォームの場合は、コーディネーターなどが介入することにより、お客様の立場に立った必要最小限度の改修を提案する事が出来、また、受注にもつながると思った。
「リフォームの見積もり、段取りなどすべてこちらですることにより、お客様としても、直接専門業者に頼むより、顔見知りで安心してもらえるのではないかと考えたんです。」
そこで谷内社長は、お客様により一層満足してもらうため、自ら福祉住環境コーディネーター2級の資格を取得し、介護保険制度における住みやすい住環境を提案するようになった。現在、バリアフリー化のリフォームや福祉・介護用具の選択と利用法をアドバイスすることが、お客様から信用を得られる一つの要素ともなっている。
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谷内社長の方針は、あくまで会話を基にお客様に提案するといった方式である。 「お客さんが足をあげるのが痛くてお風呂に入れない。」と聞けば、風呂釜の低いものを提案し、階段の上り下りが辛いと聞けば、階段昇降機をつけてあげる・・・といった具合である。
そんな谷内社長は、 「私の考えとしては、お客様と共に店舗も年をとっていきたいという方針があり、家電部門だけでは、長い付き合いといえども間が空きすぎて途切れる時期が出てきてしまう。長いつきあいをしていくためには、お客様とリフォームや介護保険も含めて付き合いができればという思いがあったんです。」
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そんな思いが功を奏し、昨年の8月には神戸市の北区で介護ショップ「オランジュ」がオープンした。このショップは、ここ3年間リフォームあるいは介護保険からの住宅改修、介護用品の取次ぎ販売をやってきた、その集大成ともいえるものである。
このショップでは、現状の店舗ではスペース的な問題から難しかった、ベットなど大型の介護用品をまとめて展示でき、お客様も直接手で触って確認することができる。去年の9月には高槻市にオランジュ2号店もオープンし、現在コーディネーターの資格をもつスタッフ6名が対応に追われている。
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「将来的な流れとしては、介護用品の割合を50%くらいにしたいと考えています。 現在当社のグループとして近畿一円に13店舗ほどありますが、その店舗の8割が家電専門となっています。いずれはその店舗も介護用品が取り扱えるようにしたいと思っています。」
今後、ますます増えていくであろう介護用品の需要に上手く波に乗っている谷内社長の今後を期待したい。
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