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サクセスリポート  

株式会社 すまいる
〒617-0002 京都府向日市寺戸町東田中瀬17-2
TEL.075-924-2201 FAX.075-924-2203
http://c21smile.com/


自らが経営する立場になった時、どのようにして経営力を身につければよいのか?そんな戸惑いを持つ人も多いのではないだろうか。今回は、地元商工会と二人三脚で更なる飛躍を目指す不動産店の若き店長にインタビュー。「若手後継者経営セミナー」のお話をメインにお伺いした。

 
 

「ご縁を頂いたすべてのお客様にスマイルを」を合言葉に向日市と近隣地域の不動産売買・賃貸仲介をする株式会社すまいる。オープン直後から苦戦し、閉店の危機を迎えていた同店を、わずか1年で回復させたのが現店長の橋本裕介さん。今年で就任4年目を迎える。

橋本さんは元々、母体であるユニバーサルホームサービス(長岡京市)で活躍していた営業マン。店長就任の際、ゆくゆくは「店を独立させる」との本部の方針があり、いつかは経営について学ばなければと考えていたという。そこで一昨年秋、青年部支援に力を注ぐ向日市商工会主催の「若手後継者経営セミナー」に参加。およそ半年かけて「経営の基礎知識」や「知恵の経営報告書(※)」の作成について学んだそうだ。受講は月に2回ほど。自分と同世代の経営者らと肩を並べ学ぶことで、横の繋がりも広がったと話す。多忙を極めていたが「忙しいを言い訳にしたくない」と、セミナーに皆勤で参加したそうだ。

(※)人材、伝統、技術等、無形の経営資産を整理し報告書にまとめることで会社の強みを「見える化」し経営改善に繋げる。認証されれば運転・設備資金の融資等の優遇措置を利用することができる。(別途審査があります)

 

基礎講座の段階では12名ほどいたという参加者は、知恵の報告書の作成指導に入る頃には僅か4名に減っていた。それでも続行を決めたのは「どの不動産会社でも取り扱える物件はさほど変わらない中、なぜお客様が "すまいる" を選んで下さるのか。その理由をスタッフに改めて伝えたいと思ったから」と話す。

作業は担当の経営支援員と連合会登録専門家とのマンツーマンで行われた。橋本さんはまず、不動産業に関わり続ける中で辿りついた揺るぎない「家を売ることは、その人の幸せをご提案すること」という思いを会社の "理念" として挙げた。そして自身の経歴の中で培ってきた「顧客の要望に親身に耳を傾け、満足頂けるライフスタイルを創造・提案する」ためのスキルを改めて整理。普段当たり前にこなす業務の中にある意味や繋がりを紐解き、そこから将来目指すべきビジョンをまとめあげた。独自の強みと、目指すべき方向性が社内で共有できたことは仕事に対するモチベーションアップにも繋がったのだろう。以前より結束が強まってきたと橋本さんは話す。同報告書は今を知る為の物差しにもなっている。状況によっては、ひたすら数字を追いかけなければならない時もある。だがそんな時こそ、報告書を読み返すことで原点に立ち返ることができるという。互いに会社のルールに沿って確認や相談を持ちかけあえるのも大きなメリットとも言えるだろう。

 

今年は店舗を移転し、独立を予定している。目指すのは「不動産らしくない」木のぬくもりのあるカフェのような和み空間。お爺ちゃん、お婆ちゃんをはじめ、地域の人々が気軽に憩える場となり、それがご縁となり仕事に繋がればとも話す。「目標の為には、今を頑張らないと」と橋本さん。営業活動の先陣を切りながら、広告作成などのプロモーションや物件収集にも力を注ぎスタッフをバックアップする構えだ。

いずれは社員一人ひとりが独立して、自分でお店を持って欲しいというのがグループ全体の考え。自身も、恩師である社長や諸先輩、仲間から様々なサポートを受けてきた。新しいステップへ進み、成長することを心に誓う。人や組織を育てることは易しいことではないが、人こそ企業にとって一番の資産ではないだろうか。個々の自立した強さこそ、この先の未来を切り拓くキーワードになるのかもしれない。

 

橋本さんが「若手後継者経営セミナー」に出席し始めた丁度その頃は、加盟するセンチュリー21(加盟店はすべて独立・自営)のセールスラリーが始まるほか、宅地建物取引主任者資格の試験勉強中でもあったという。多忙で休もうと思った日もあったそうだが「忙しいを言い訳にせず、全部やりきったら、かっこいいのではないか。」と思い直し、なんとか乗り切ることができたそう。忙しいくらいの方が、逆に集中力が高まると橋本さん。ちなみにその頑張りの甲斐あり、昨年は媒介受取報酬総額 京都滋賀ブロック第一位、関西圏営業マン1169名中、お客様好感度賞一位を受賞。更に、13年越しで一念発起した宅地建物取引主任者資格も見事合格。それまでの努力の積み重ねが一気に花開いた一年だった。

 

そのように日々頑張る橋本さんの様子を「セミナーは結局皆勤で、いつも席の一番の前に座り真剣に取り組んでおられました」と担当の経営支援員は話す。さらに「新しいことは積極的に取り入れ、それを頭の中だけではなくて行動に移して試される人」というように、セミナーなどで学んだ内容で良いと思ったことは即座に取り入れていたそうだ。

例えば「店の中が良く見える、入りやすく清潔感のある店舗」も、知恵の経営報告書の作成の際に、担当する経営支援員との話し合いの中で出た意見を参考にされたもの。一般的な不動産の店舗と言えば、物件紹介の紙が玄関や窓にべたべたと張られ、お店の中が不透明な雰囲気が漂うイメージがある。が、これは元々橋本さんが思う誰でも入りやすい店づくりとは根本的に異なる。そこで、紹介物件の張り紙は極力減らし、気軽に立ち寄れるコミュニティサロン的な店づくりに努めた。お陰さまで反応は上々だという。また、広告などもパワーポイントやフォトショップなどのパソコンソフトを駆使し、自分で作成しているとのこと。自分が面白いと思った見せ方や切り口があると、すぐにでも試してみたくなるそうで、チラシ作りのセミナーが終了してから事務所に戻り制作に取り掛かったこともあるそうだ。

もちろん、全部が全部良い結果が得られるわけではない。失敗は後の糧となるよう結果を反省し、次へと繋げる。そんなサイクルが自然と身についているのも、見習いたいところである。

 

ユニバーサルホームサービスに入社する以前は、賃貸の会社に3年勤めたという橋本さん。売買の仕事に興味を持ち、現グループに入社してから3年は目立った成績も残せなかったという。転機は結婚を機に、マイホームを購入してから訪れた。

「自分がお客さんとして素性を伝えずに、不動産屋さんに声をかけるんですけど、物件を見た段階でこれはナシやなって思ってるんですよ。奥さんと二人で。でも営業マンは一生懸命なのに、これはないですって言えないじゃないですか。こっちは帰りたい。帰りたいけど、帰してくれへん。それで思わず出た言葉が、“検討します”だった」と橋本さん。 それまで同じ営業マンの立場で幾度となく聞いた言葉だったが、客となって初めてわかったことは、その言葉が出る時点でほとんどもう可能性はないということ。ならば、どのようにして次に繋げていくのか。その方法の一つとして思いついたのが「ダメな理由を聞いておいて、その一週間で見合う物件を探しておくので来週どうですか?という提案をする」というものだった。それまで散々言われ続けてきたことだったが、自身で体感して初めてその意味を知ることができたと話す。

「それまでお客さんの立場に立ってご提案をしてこなかったのがわかった瞬間でした。ただのモノ売りだったなって。本当にそのお客様が求めているものがわからないことには、提案のしようがないことも」と橋本さん。日当たりいいところ、駅近いところ、小学校近いところがいい…残念ながら100%は当て当てはまるものは難しい。だったら、なぜその条件を挙げられるのかその理由を聞いてみる。すると、意外に駅から近い必要はなかったなど、ヒアリングを重ねることで優先順位がだんだんとはっきりと見えてくる。本質がわかったら、あとは条件に見合った提案に繋げていく。こうした顧客目線のやり取りから、堅い信頼関係が育まれていくのである。

 

「不動産販売は、若ければいいというのではなく、ある程度、人生経験を重ねた人のほうがお客さんの立場に立ったご提案ができるのでは」と話すように、現在、すまいるで働くスタッフ4名のうち、営業を担う3名はすべて30代以上で家庭を持たれているそうだ。事務スタッフを含め、具体的な目標を描ける人材が揃っていることも強みだと話す。

今後は、新たなご縁を構築するとともに、契約してからのアフターフォローにも更に注力し、一度ご縁で結ばれたお客様との継続的な関係の構築にも力を注ぐ。また、地元商店との繋がりも強めることで、互いに「WIN WIN」になれる関係を目指し、向日市の発展に努めていきたいと話す。

商工会も、新たなステージへと進まれる同社を全力でバックアップしてゆく構えだ。向日市やその近隣でお住まいや物件をお探しの際には、ぜひとも同店にご相談されてはいかがだろう。きっと、素敵な「笑顔」に出会えることをお約束する。

 

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