今後の進む道について訊ねてみると、「設計を厚くして、自社製品の開発に力を入れていきたいですね。」と泰幸さん。また「受託の方も、提案していくことでそれなりにイニシアチブが取れ、優位性が取れるようにシフトしていく。中国等の諸外国との価格競争だけになると、叩かれるばかりになってしまいますので。お金だけの問題であれば、すぐに海外にいけばいいですし、実際そんな道を考えたこともありました。でも、それよりもまずは日本でもっともっと認められて、その技術を日本に残したい。海外はそれからです。」とまずは揺るがない土台作りが大切との考えを話された。
さらに「日本のものづくりは、まだまだ可能性がある。」と原田社長。「安さだけで海外に進出しても、例えばその国の賃金が上がってくるなど、状況が変わるたびに世界中を一生転々としなくてはいけなくなります。日本は、やっぱりものづくりでできた国。技術も想像力も素晴らしいものを持っていますし、勝負をするならやはりそこだと思います。地に足を付けて、自分達はこれだという確たる技術やノウハウを身につける。この先の未来の為にも、日本の力をどんどん出していかないといけない。」と話す。
そんな想いを、未来を背負って立つ子供達に伝えようとミツワ製作所では地域の子供達の育成支援の一環として、工場見学やステンレスを使った工作教室などを実施している。近隣地域にある関係機関と連携し、ものづくりの魅力に触れるきっかけを提供し、楽しさを知ってもらおうというものだ。同社のプログラムは好評で、開催時は毎回定員オーバーになってしまうとのこと。
「子供達に、面白かったなあ、将来はあんな仕事をやりたいなあと思ってもらえたら、いつか、我々のような仕事につきたいなあと思ってもらえますしね。」と原田社長。泰幸さんも、子供の頃から遊びや日々の暮らしの中で、手を伸ばすとすぐそこにものづくりに触れる機会があった。高校生の頃は、アルバイトと称して父に現場に連れて行かれることが嫌だったそうだが、その頃、父を始め周りの大人たちに教えてもらったことが、今となっては優しさだったということが良く分かる__そう、話された。
様々な可能性を秘めたミツワ製作所。同社のこれからに、ますます目が離せない。