ナム・コンセプトの代表に就任する以前は、大阪や京都で洋菓子店やカフェ、レストラン、空港でのフードコート出店などで様々な経験を積んでいた沖さん。飲食業界のスペシャリストともいえるが、もともと飲食業界自体に興味があったわけではなかった、と意外なことを話してくれた。
関西大学在学中から、放送局でADとして働き、そこで企画やプロデュースに関する仕事の面白さに目覚めた沖さんは、企画系の仕事ができるということで卒業後は洋服を手掛ける某有名アパレル会社に就職した。入社当時は、DCブランドブーム真っただ中。当時、アパレル会社が洋菓子店を開くことが流行しており、沖さんの会社でも洋菓子部門が新設された。そこで名乗りを上げた沖さんはやがてその事業を引き継ぎ独立の道を歩んでいく。その後は、様々な業態の店舗を開業させ、平成13年に知人の縁で同社を任されるようになったそうだ。
今現在、京丹波に深い関わりを持つようになったこれまでを振り返り「その時々のタイミングでご縁のあった仕事を拒まずお引き受けし、取り組んで来たらここに辿り着きました」と沖さん。この仕事はやりたくない、過去に経験がないからできるか不安__こと新しい挑戦を目前にすると多くの人は戸惑い、現状を守るために尻込みするだろう。しかし、「僕の場合は抗わない!来た方が運命だよなあっていう認識なんです」というように、沖さんはそこであえてチャレンジし努力することを選んできた。もちろん、失敗したこともあるはずだが、日々新しいものを受け入れ自らの血肉にし、成長を重ねた結果が現在歩む道に繋がった。「やらされているのではなく自分で決めて走り出したことなので。そう考えたほうが、大変なことがあっても苦しいとかじゃなくて、色々楽しみながら取り組んでいけると思います。」そんな風に話す沖さんの佇まいは、あくまで自然体で力強い。
今年、同社には大学を卒業した地元の若者が入社を希望し、新入社員となった。「若い子たちには、なんでも積極的にチャレンジして、失敗も成功も自らの糧に成長していって欲しい」と話す。若さというエネルギーは、いつの時代も大きな推進力になるはずだ。一人の力より、二人、三人…。多くの人々の知恵とパワーが化学反応を起こし、イノベーションを巻き起こす。同社が描く夢の実現に期待したい。