「うちの従業員は、みんな笑顔が素敵。これだけの笑顔を持っている社員は地域の他の会社をみてもいないと思う。」と話されるように、同社の誇る資産の一つはやはりそこで働く従業員の方々である。前田さんが、スタッフを採用する際の目安にしているのが、まず第一に笑顔、そしてもう一つは、物事に一生懸命取り組めるかということだという。
「うちのプランナーは、いざ忙しいとなった時に現場のスタッフと一緒に泥だらけになって働くことができる。それが、強みなんです。」と前田さん。ご自身もあるときは社長で、ある時は営業マンに、そしてあるときは現場の作業員として共に汗を流す。もちろん逆も然りで、現場の作業員も自分は前田組の“顔”であることを意識しながら仕事についている。「例えば、自分のご近所でお庭の工事をされてたら、色々と気になるじゃないですか。なので、施工させて頂くお家のご近隣の皆さんには、工事が始まる前に、うちのチラシと花の種、工事のご案内書を持って、“ご迷惑をおかけします”とご挨拶に行かせて頂きます。」と話す。特に、意識しているのが挨拶だという。通りかかられた近隣の方々に、明るい笑顔で「こんにちは」や「ありがとうございます」など、積極的に声をかけ、良好な関係を築くよう心掛けているという。
良質な仕事をするのは当然のことで、それがプロとしての最低ライン。同社が目指しているのは、「お代金を頂く時に、ありがとう。と言ってもらえる仕事をする」ことだという。例えば女性であれば、美容院にカットにいって、とても素敵な感じに仕上がれば、店を出るときに「ありがとう」の言葉を伝える。それは、お客様の心をおもてなしするサービスが提供できているからだ、と前田さん。お客様にとっては、例えその日に入社したアルバイトでもプロの一人に違いない。その都度の快い対応の積み重ねが、やがて厚い信頼に繋がり評判は人から人へ、そして次の仕事へと繋がっていく。それは初代、先代から絶えず前田組が続いてきた根幹でもある。
ゆえに、前田さんはスタッフがお客様から専門外の質問等をお受けしても、お客様にとってストレスなくご理解頂ける応対方法をアドバイスしているそうだ。例え、その場では満足にお応えできなくても、誠心誠意の対応をさせて頂き、専門のスタッフへときちんと引き継ぎができればお客様の心に響かせることはできる。接客は「お客様」と「お店の代表者」とのコミュニケーションだ。その日の売り上げよりも、信頼して頂けるリピーターを作る気持ちが大切と前田さん。心のこもった「おもてなし」のためには、どうすれば、何をすればいいのか?その方法を、後進に教えるのも大切な仕事の一つなのである。