「品質、納期、コストのすべてにおいてお客様の高い要求に応えていくためには、今以上に技術を磨いていく必要があります」と、語る廣田さん。八幡市商工会の後押しを受けて獲得した公的支援を活用し、新しい機械の導入や改良に積極的に取り組んでいる。
目下の課題に挙げるのが、製造のスピードアップだ。そのために加工機を動かすのに必要なプログラムの開発を進めようとしている。NC旋盤をはじめ名工技研で使用する加工機のほとんどは自動運転で行われるため、どのような形状に加工するかをあらかじめプログラミングする必要があるが、通常こうした機械は大量生産を目的に自動化されており、ひんぱんなプログラムの書き換えを前提としていない。ところが、多品種少量生産が中心の名工技研では、数個単位で加工する製品が変わるため、そのたびにプログラムを書き換えなければならず、手間と時間を大幅に要する。そこで製品が変わるごとに書き換えなくてもいいように演算ソフトを事前に導入する方法などを考え出し、機械メーカーと連携しながら機械の改良を加えている。
また製造プロセスの効率化も図る。それまで粗削り、研磨の二段階で加工していた工程を一つの研磨機で加工できる機械を導入。1台の機械で作業の9割を完結できるようになり、加工時間を短縮するとともに、その工程に割く人も減らすことができた。「こうした新しい研磨機に対応するため、研磨用の砥石の寿命を伸ばす方法も研究開発中です」。
こうして機械の効率化やスピードアップを図ることで、生産性を向上させるとともに、緊急の依頼にも対応できる人材と機械を確保している。