1961(昭和36)年、小林厚美さんの父親にあたる先代が印刷業を興したのが三景印刷の始まり。当初は地場産業である織物業を営む「機屋(はたや)」で扱う伝票の印刷が中心だった。活版印刷に加えてオフセット印刷機を導入してからは、パンフレットやチラシなどのカラー印刷の受注も増やし、事業を拡大してきた。
しかしやがて「ワープロやコピー機、パソコンの普及に伴って、簡単なレイアウトや印刷なら印刷会社でなくてもできるようになり、それまでの事業だけでは限界を感じるようになってきました」と、転換点を振り返った小林さん。オンデマンド化を進めたのは、そうした時代の変化に対応するためだった。
たとえ事業形態は変わっても、顧客を大切にする企業姿勢は変わらない。
「インターネット販売が中心になっても、お客さまが不安に感じないよう心がけています」と語るように、きめの細かい対応が同社の特長。インターネット通販では受け付けないことも多い電話での問い合わせにもていねいに応じることから顧客の信頼は厚い。
「PDFファイルで入稿していただく仕組みですが、そもそもPDFファイルをご存じないなど初歩的なお問い合わせでも、ご理解いただけるようできるかぎり説明しています。わからないことをご相談いただくだけでなく、お客さまの注文に対し、『こうした印刷方法ならもう少しコストを下げられます』といったアドバイスをすることも少なくありません」。